執筆:歯科医師 河合良治
透明なマウスピースを装着して歯を動かしていくマウスピース矯正はワイヤー矯正と違い、患者さんが主体となってマウスピースを交換しながら治療を進めていきます。
今回はマウスピース矯正の通院間隔についてお話ししていきます。
マウスピース矯正の通院間隔は?
マウスピース矯正は患者さんにマウスピースをお渡ししご自身で交換していただく治療になるため、通院間隔がわかりづらいかと思います。
実際には、マウスピース矯正の種類やその人のお口の状況にもよって変わりますが、ワイヤー矯正よりやや長く、1ヶ月〜3ヶ月に1回というのがほとんどです。
患者さんには初回には多くの場合練習用・慣れるようにスタートのマウスピースをお渡しします。その後はマウスピース1セットを7日から2週間装着していただきます。
4週間〜12週間のサイクルで一度通院していただくことが多いです。
その理由としては歯が計画通りに動いているか確認したり、アタッチメントなどが外れていないか、他に問題がないかを確認したりするためです。
問題がなければ状況に応じて上記の通院感覚で来院していただくといったルーティーンになるでしょう。
治療の後半には通院回数が増えることも
治療が始まると基本的には上記のとおりですが、治療の後半になると通院回数が増えることがあります。
これは、マウスピースのシート数が後半になると歯並びの再スキャンが必要になることが多いためです。
多くのワイヤー矯正では、月1回の調整日に毎回治療計画や矯正器具を調整していくため、その都度患者さんの歯の動きに対応できます。
しかし、マウスピース矯正の場合は最初にスキャンした歯並びをもとに全てのマウスピースを作成するため、ある程度、治療が進むと当初の計画と歯の動きに微妙に誤差が出てくることがあります。シートが多い場合はほとんどそうなります。
その誤差を調整して計画通りに歯を並べていくためには再びスキャンをし、新しいマウスピースを作成する必要があります。
この再スキャンは1回で終わることもあれば数回必要になることがあり、患者さんの治療の経過によって決まります。
そのため、通常のチェックだけでなく、新しくスキャンしたり、新しいマウスピースの受け取りなども通院回数に含めておきましょう。
毎月の状況に合わせて、その都度調整するワイヤー調整と
当初の状況に合わせて、調整されているマウスピース矯正とでは進み方がこうやって異なるので、ここを理解してマウスピース矯正を始められるといいでしょう。
マウスピース矯正中の通院の注意点
基本的には4週間~12週間に1回の通院になりますが、マウスピース矯正ではほとんどが自己管理になるため通院中の注意点があります。いくつかご紹介していきます。
通院期間を短くしない
1セットのマウスピースを最低でも1週間〜2週間装着する必要がありますが、早く治療を終わらせたいからと勝手に装着期間を短くして通院しないようにしましょう。
歯科医院でも予定された進行具合を想定してアポイントをとっていますが、使用が中断された時期があっても、むやみに焦って付け替えても残念ながら追いつくことはできないのです。
そのため、必ずしようできない期間があったら歯科医院に通院間隔の相談をするようにしてください。
装着をサボってしまったら通院期間を調整してもらう
イベントなどでマウスピースの装着が長時間できない日が続いたり、マウスピースの装着時間が足りないことがある場合は歯科医院に相談して通院日を少し伸ばしてもらうなど、調整してもらうようにしましょう。
装着時間が足りずに次のマウスピースを装着しようとすると、マウスピースが正しくはまらない、痛みが強くでるなどのトラブルに繋がります。
通院間隔を伸ばしてもらいたいときは必ず相談する
もし使用していなくて、延ばしたほうがいいのではないだろうか?と自己判断で延期や中断などするのではなく必ず担当の矯正医に相談して来院時期は相談しましょう。
お口の状況によっては、その期間でも確認したいことがあることもあります。
トラブルが起きたら通院日を待たずに連絡する
アタッチメントやインプラントスクリューなどが外れてしまったなど、矯正中にトラブルが起きることもあります。
その場合は、次の通院日を待たずに早めに歯科医院へ連絡し、どのようにすればいいか対応を聞きましょう。
放置してしまうと、歯が計画通りに動かなくなったり治療の効果が減ってしまうなどに繋がってしまいます。
参考:日本矯正歯科学会
まとめ
今回はマウスピース矯正の通院間隔についてお話ししました。基本的なワイヤー矯正と大きく変わることはなく4週間に1回ほどの通院になります。
しかし、治療の後半になると再スキャンが必要になるため、通院回数が増えることがあります。
マウスピース矯正は患者さん主体で治療を進めていくために、ついつい通院を忘れがちになってしまいますが計画通りに歯を動かしていくためにも必ず通院間隔は守るようにしましょう。
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