執筆:歯科医師 河合良治
マウスピース矯正(インビザライン)は透明なマウスピースを患者さん自身で交換してもらい、歯を動かしていく矯正方法になります。
ワイヤー矯正と違い、食事や歯磨きの際にはマウスピースを外して、その後は歯磨きをしてまた装着するなど患者さんが主体で動いていく必要があるため日常生活にどれぐらい影響するの?と不安に感じる患者さんもいるかもしれません。
今回はマウスピース矯正がどう日常生活に影響するのかについてお話ししていきます。
マウスピース矯正の1日の流れ
まずはマウスピース矯正を始めたらどんな1日の流れになるのか例としてお話しします。実際の1日をイメージしてみましょう。
<朝>
起床(就寝中はマウスピースを装着したまま)
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マウスピースを外して歯磨きを行う(この時マウスピースに着色などあれば、洗浄剤につけて洗浄するのもおすすめ)
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朝ごはん・コーヒーなどを楽しむ
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食後は歯磨き・フロスをしてからマウスピースを装着する
<昼>
昼ごはんを食べる前にマウスピースを外し、軽く水で洗浄してマウスピースケースへ保管
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昼食後はコーヒーやスナックなどご自身が好きなものを楽しむのもいいですね
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歯磨きをしてマウスピースを装着
<夜>
夜ご飯の前にマウスピースを外す
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食後は歯磨きをしてマウスピースを装着
就寝中はお口が乾燥しやすく虫歯や口臭の原因になりますので、1日の中でも丁寧に歯磨きやフロスを行うようにしましょう。
みてもらうとわかるように、食事と歯磨きをする以外は常にマウスピースを装着したままになります。マウスピース矯正は1日に22時間以上は装着しなくてはならないからです。
マウスピース矯正は日常生活にどう影響する?
ここでは具体的にどのように日常生活に影響していくのか、各項目に分けて説明します。
間食をしづらくなる
食事の際にはマウスピースを外していつも通り食事ができることが大きなメリットでもありますが、食後は歯磨きをしてマウスピースを装着しなくてはいけません。
間食などおやつを食べた後も同じように歯磨きをしなくてはいけないため、毎回の歯磨きがめんどくさくなり間食をしなくなったという方が多いです。
虫歯やダイエットの面からしたら良いことですが、間食が好きな方には少しストレスに感じるかもしれません。
飲み物に制限が出てくる
マウスピースを装着している時は、基本的に飲み物は水だけを飲むようにしましょう。なぜかというと、ジュースの場合は糖分がマウスピースの中に停滞して虫歯のリスクが高くなります。
またコーヒーや紅茶などの色素が強い飲み物はご自身の歯やマウスピースが着色し黄ばんでしまう原因になってしまいます。
コーヒーをよく飲まれている方にはマウスピースを外している食後などに飲める機会が限られてしまうため、慣れるまでは多少ストレスに感じてしまうかもしれません。
歯磨きの回数が増える
今までお話ししたように、食後は必ず歯磨きをしてからマウスピースを装着する必要があります。
今までは朝と夜しか歯磨きをしなかったという方も、朝昼晩の食後+間食後の歯磨きをしなくてはいけないために、1日に行う歯磨きの回数が増えたという方がほとんどです。
外食の際にはお手洗いでマウスピースを外す必要がある
外食をする際にはマウスピースを外すためにお手洗いに毎回行くようになるでしょう。友人や家族の前でマウスピースを外すのは不衛生に感じますし、マウスピースも水洗いする必要があるからです。
そのため、外食をする際には必ずマウスピースケースを持参してください。人目につかないお手洗いなどでマウスピースを外したり、装着するようになります。
毎回お手洗いに行くのはめんどくさいと感じるかもしれませんが、マナーとして人目につかないところで行うようにしましょう。
食事をする際に違和感を感じることがある
マウスピース矯正を始めると、歯が移動することで痛みや噛み合わせが変わったように感じることがあります。そのため、食事の際に違和感を感じることがあるかもしれません。
しかし、ずっと続く訳ではなく3日ほどすれば違和感を感じなくなることがほとんどです。
硬い食べ物は避けるようになる
マウスピース矯正中は、歯が動いているために歯の根っこの部分がとても敏感になっています。そのため、硬いものを噛んだりすると痛みや炎症を起こしやすくなります。
矯正中は極端に硬い食べ物は避けるようにしましょう。特にマウスピースを交換したばかりの際には、歯が動き痛みを感じやすいため柔らかいものを食べるようにしてください。
まとめ
今回はマウスピース矯正をした際に日常生活にどのような影響が出るのかについてお話ししました。基本的には矯正をしていない頃と同じように生活することができますが、マウスピースの装着を自分で管理する必要があることから、食後には歯磨きをして早めにマウスピースを装着することを徹底する必要があります。
今までのように気軽に間食ができなかったり、毎回歯磨きをしなくてはいけなかったりとストレスに感じることもありますが、毎日の流れをルーティーン化させることで慣れていきます。
何より歯が綺麗に並んでいくと、嬉しくなってより歯のケアに力を入れるようになります。毎日を楽しみながらマウスピース矯正を進めていってください。
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