執筆:歯科医師 河合良治
虫歯や歯周病など歯を失ってブリッジを入れることになった方も多いのではないでしょうか?ブリッジは取り外すことがないため、ご自身の歯のように使っていただけますが、全ての方が長持ちするとは限りません。
あくまでも人工物であり、口の環境は変わっていくので、他の歯と同様にしっかりとメンテナンスをしていかないと、長い間使うことができずに寿命がきてしまうこともあります。今回はブリッジの寿命についてお話ししていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
ブリッジの寿命はどれぐらい?
まずはブリッジがどのようなものなのか簡単に説明します。
ブリッジは、歯を根っこから失ってしまった場合(虫歯や歯周病などで抜歯になったケースなど)、失ってしまった部分を補うために両サイドの歯を土台にして橋渡しのように被せ物をする治療になります。
入れ歯と違い専用の接着剤で直接歯に固定するため、ご自身の歯のように使っていただけるといったメリットがあります。
ブリッジには保険治療の材料と、自費治療の材料があるのですが、保険のもので平均的な寿命は7年〜8年、そして自費のものであればそれ以上もつと言われています。
ただし、これはあくまで平均データであって、ブリッジなど被せ物の寿命は患者さんのお口の状態や普段からの口腔習癖などによって大きく左右されるため、もっと早くに寿命がきてしまう方もいれば、それ以上に長くブリッジを利用している方もいます。(当医院では10年以上の方もたくさんいらっしゃいます。)
次ではブリッジの寿命を短くしてしまう原因についてお話ししていきます。
ブリッジの寿命が短くなる原因
ブリッジは装着したあとも適切なメインテナンスやお口の癖の改善などを行うことで、寿命以上に長く使えると言われています。ここではブリッジの寿命が短くなってしまう原因をいくつかご紹介します。
土台の歯が虫歯になる
ブリッジをどれだけ健康に保てるかは、土台となる歯にかかっています。
しかし、長年ブリッジを使用していると装着しているセメントの劣化や歯ぐきが下がってしまうことによって、ブリッジの隙間から虫歯菌が入り込み、土台の歯が虫歯でボロボロになってしまっていたということも少なくありません。
特にブリッジは片方の歯が外れても、気付きにくいため、この隙間から虫歯になってしまう傾向があります。また土台にする歯は神経がないことも多いため、虫歯が進行しても気づかず、気づいた時には手遅れで抜歯になるといったケースもあります。
なるべく虫歯にならないように、正しいホームケアの実践や定期的な歯科医院でのクリーニングが重要になってきます。
土台の歯が歯周病になる
ブリッジは複雑な構造をしているために、通常の歯よりもご自身でのケアがしにくいです。
特にダミーの歯(ポンティック)の下部分は歯ブラシが当たりにくく、通常のフロスも通せないため汚れが溜まりやすく、その結果歯ぐきが炎症を起こして歯周病へと移行しやすくなっています。
歯周病は、歯周病菌により顎の骨や歯肉などの歯周組織を破壊してしまう病気です。どんなに土台の歯が健康でも歯周病が進んでしまうと、歯がグラグラしてしまい最終的に抜けてしまいます。
ブリッジの土台の歯は負担が大きいため、一度歯周病になってしまうと進行が早いという特徴があります。そのため、普段からホームケアに力を入れ、定期的に歯科医院でメインテナンスを行ってもらいましょう。
参考:日本臨床歯周病学会
噛み合わせが強い
極端に噛み合わせが強い方、普段から食いしばりや歯ぎしりをしている方もブリッジの寿命が短くなりやすいです。
噛み合わせが強く、普段から食いしばっていると歯に通常の何倍もの力が加わり、ブリッジやセメント、そして土台の歯に負担がかかっていき、何もしていなくてもブリッジが外れてしまうことや、歯根破折といったトラブルが起きやすいです。
ブリッジだけでなく、被せ物がよく外れるという方は噛み合わせが強かったり、食いしばりをしている可能性があるため、噛み合わせの調整をしっかり行い、ナイトガードを作成して寝る時に装着するなど早めから対処するようにしましょう。
参考:テーマパーク8020
まとめ
今回はブリッジの寿命についてお話ししました。平均的なブリッジの寿命は保険の材料のもので7〜8年と言われています。自費の材料のものは少し長くなる傾向があるようです。
しかしブリッジの寿命は患者さんのお口の状況に大きく左右されるため、個人差が大きいです。特に虫歯ができやすい方、歯周病になりやすい方、噛み合わせが強い方はブリッジの寿命が短くなる原因にもなりますので、まずはきちんとした設計の治療を受ける、またその後の噛み合わせを含めたメンテナンスをしっかりとうけ異常時には早めに対処しましょう。
当院では、いつまでも健康に長く使えるように厳しい条件を設定し、ブリッジ治療を提供しています。予防と噛み合わせのプロである歯科医師が、患者さん一人ひとりにピッタリの被せ物を作成しますので、歯の治療に困っている方はお気軽にご相談ください。
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