執筆:歯科医師 河合良治
顎関節の痛みや、口が開きにくいといった症状が出る場合は「顎関節症」の可能性があります。顎関節症は残念ながらすぐに治るものではなく、根本解決には、一連のスプリント治療や、噛み合わせ治療が必要になります。
ただ、いますぐに症状を少しでも抑えたいという場合には、研究からもマッサージが顎関節症の痛みや顎関節症の症状の管理に役立つことがわかっています。今回は、口が開きづらい方、顎に痛みがある方ができるマッサージやストレッチをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
これは肩こりのマッサージのようなもので、根本解決ではなく症状をやや抑える程度のものです。【治療】という言葉を使用するには私どもはやや抵抗を感じますので、本当に参考程度にしてください。
顎関節症のマッサージ
顎関節症には、関節炎や顎の損傷など、さまざまな原因があります。
しかし、顎関節症が食いしばりによる顎関節の筋肉の緊張やアンバランスに関係しているのであれば、顎のマッサージが効果的なことがあります。
日本顎関節学会の顎関節症治療の指針でも、顎関節症の治療後に症状が改善し安定期となっても、セルフケアとしての開口ストレッチや咀嚼筋マッサージなどを継続する必要があると表記されています。(私どものクリニックでは食いしばりの癖がある方を対象としています)
では、いくつか顎関節症の方におすすめの開口ストレッチや咀嚼筋マッサージをご紹介していきますので、ご自身でも行ってみましょう。
開口ストレッチ
①こめかみに人差し指と中指をあてます
②指を当てたまま「イーっ」の口をして下の顎を右にずらします
③そのまま今後は下の顎を左にずらします
④今後は下顎を前にずらします(しゃくれた状態にさせる)
⑤最後に口を開けます(※顎が鳴る方はそこまで開けないでください。鳴らさないようにしてください。)
①〜⑤までを10回1セットとして、1日に5回ほど行うのがおすすめです。顎を動かす際にはゆっくり大きく動かすようにしましょう。
強い痛みがある場合は、無理に行わずできる範囲で大丈夫です。
咀嚼筋マッサージ
次に咀嚼筋のマッサージを行います。咀嚼筋には側頭筋・咬筋・外側翼突筋・内側翼突筋の4種類があります。
その中でも特に大きな部分である咬筋のマッサージをご紹介します。咬筋は頬骨の下から顎にかけて分布する筋肉で、詳しい場所は以下の画像を参考にしてください。
まず、手をグーの形にしましょう。この時、親指は中に入れずに外に出した状態にします。
そして、指の第一関節と第二関節の間の平らな部分を咬筋の部分に当てて、口を開けたままグルグルと円を描くようにマッサージしましょう。
少しづつ手の位置をずらしてまんべんなくマッサージするようにしてください。気持ちいいと感じる圧でマッサージするようにし、痛みを感じる場合は弱めるかマッサージをしないようにしましょう。
無理なマッサージや自己流のマッサージは禁物
顎関節症の症状がマッサージによって改善されることもあります。しかし、無理なマッサージや自己流のマッサージは顎関節症が悪化する恐れもあるため、しないようにしましょう。特に大きな口を開けすぎるのは注意です。
強い力で顎周りを押したり、無理に大きな口を開いてしまうことで強い痛みが出てしまうこともありますので、絶対にしないでくださいね。
まとめ
今回は顎関節症に効果的なマッサージやストレッチについてお話ししました。顎関節症の症状が落ち着いている時には、早めに検査や治療をお勧めします。
参考:Healthline
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