執筆:歯科医師 河合良治
近年日本でも人気の高いインビザライン矯正は、透明なマウスピースを自分で交換しながら歯を動かしていく矯正方法(マウスピース矯正)です。全世界的にインビザラインは普及してきています。(参考サイトはこちらから)
マウスピース矯正はワイヤー矯正と違い患者さんが主体で治療を進めていくことから、ついついマウスピースの装着をサボってしまったという状況も少なくありません。
今回はインビザライン矯正中にマウスピースの装着をサボってしまった場合に起こり得るトラブルや注意点についてお話ししていきます。
インビザラインをサボったら起こる「後戻り」
インビザライン矯正ではマウスピースを1日に20時間以上装着してもらい、2週間ごとに新しいマウスピースへと交換していきながら歯を動かしていきます。
マウスピースの管理は患者さん自身でする必要があり、慣れてくるとついついマウスピースの装着をサボりがちになってしまうものです。
マウスピースの装着を長時間サボってしまうと、歯は元の位置へ戻ろうと「後戻り」を起こしてしまいます。歯が動きながら歯が後戻りを起こすため以下のような様々なトラブルを引き起こしていきます。
・噛み合わせが悪くなる
・マウスピースが入らなくなる
・治療期間が長くなる
噛み合わせが悪くなる
均等に後戻りしてくれれば前のマウスピースが合うのですが、そういうわけにもいかずに合うところと合わないところが出てきます。歯が動いてしまうと、本来予定していた位置と異なり、噛み合わせの位置も変わってしまい食事の際に痛みを感じる、顎に負担がかかるなどのトラブルがおこることがあります。
そのまま新しいマウスピースをいれたり、途中でやめてしまったりすると、噛み合わせが悪いままになります。そのまま放置してしまうと偏った噛み合わせによる顔の歪みや顎関節症などにも繋がりますので注意が必要です。
マウスピースが入らなくなる
インビザライン矯正では、最初にスキャンをおこなってから治療完了までのマウスピースをまとめて制作します。そのマウスピースを患者さんにお渡し、装着や交換をご自身で行なっていただきます。
しかし、歯の後戻りが起こると歯並びの形が変わり、マウスピースが入らなくなってしまうことがあります。
無理に装着することで強い痛みを感じたり、歯肉退縮などを起こす恐れもあるため、入らないと感じたら早めに歯科医院で相談しましょう。
治療期間が長くなる
先ほどお話ししたように歯が後戻りを起こしてしまいマウスピースが入らなくなってしまった場合はもう一度歯型のスキャンを行い、新しいマウスピースを発注しなくてはいけないため、さらに治療期間が長くなってしまいます。
また、後戻りを起こすことで治療計画通りに進まなくなってしまい、当初計画していた治療期間よりも長くなってしまうことがあります。
参考:日本矯正歯科学会
インビザライン中にサボらないためにできること
ここでは、マウスピースの装着をサボらないためにできることをいくつかご紹介します。
食事が終わったらすぐに歯磨きをする
食事の際には毎回マウスピースを外す必要があります。そのため、食後はまったりしてそのままマウスピースを装着し忘れるといったパターンが多いです。
食後はできるだけ早く歯磨きをする習慣をつけて、その流れでマウスピースも一緒に装着するようにしましょう。
カバンに歯ブラシを入れておく
外出をした際に、外で食事をした後、歯ブラシを忘れてしまったため歯磨きができずにマウスピースを装着しないまま過ごしてしまったという方も多いのではないでしょうか?
常にカバンには歯ブラシを入れておいて、いつでも歯磨きができる状態にしておきましょう。
マウスピースの装着をルーティンにさせる
1日にうちに20時間以上装着する必要があります。そのため、あらかじめ食事の時間や間食の時間をある程度決めていくことがおすすめです。
朝起きたらマウスピースを外す→洗浄剤につけおき→朝ごはんを食べて歯磨き→マウスピースを装着などのように1日のルーティーンを作ることでマウスピースの装着忘れを防止することができます。
まとめ
今回はインビザライン中にマウスピースの装着をサボってしまうと起こることついてお話ししました。インビザライン中に最も起こりやすいのが歯の後戻りです。
歯が大幅に後戻りを起こしてしまうと、マウスピースが入らない、治療期間が伸びてしまうなどのトラブルも起こってしまうため、ご自身で気をつけながらマウスピースの装着をルーティーン化させましょうね。
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