執筆:歯科医師 河合良治
歯を失った部分を補う方法としてブリッジ、インプラント、「入れ歯」があります。今回は入れ歯の痛みについてです。
入れ歯は粘膜に対して、プラスチックのような材料や金属の材料を使っていることから、柔らかい歯茎になどに強く当たると痛みが出てきてしまうことが多いです。
入れ歯の痛みについて
歯を失った部分を補うために取り外しが可能な人工の歯を入れる「入れ歯」治療ですが、新しく入れ歯を作製した後やしばらく使用したあとに痛みを感じやすい状態になります。
これは新しい靴と一緒で、入れ歯がまだ口の形にピッタリと合っていなく、強く当たってしまうことで起きてしまう靴擦れのようなものです。またいつもと違う状態で使ったりなにか変化があれば痛みが生じやすいです。
精密な型取りを行っても、「粘膜対人工的な硬い素材」なので最初からピッタリとあうわけではありません。緻密な調整が必要です。痛みを我慢して人によっては、大きな口内炎ができてしまい入れ歯の使用を中止してしまうこともあります。そのままの状態ですと食事が満足にできなくなってしまい、低栄養や口腔機能の低下に繋がってしまいます。
そのため、入れ歯による痛みを感じる場合はこまめに歯科医院で調整を行ってもらい、あきらめるようなことがないようにしてください。嫌な顔をされるようでしたら別の医院に行けばいいです。大切なのは世間体ではなく、あなたの健康ですから。
入れ歯による痛みを感じやすい部分
入れ歯を装着して痛みを感じやすい部分としては、元々歯が生えていた部分、すなわち顎の骨の部分になります。
歯はなくなっても顎の骨はありますから、硬い骨に硬い義歯があたり柔らかい粘膜部分が挟まれるかたちで傷ついてしまうのです。
もし入れ歯を使っていて痛みを感じる場合は無理に装着する必要はありません。痛みが悪化し、傷がひどくなってしまうため外してお口の中を休ませましょう。そして調整を行ってもらいましょう。
入れ歯で痛みを感じるのはどんな時?
入れ歯をしていて痛みの感じるのは以下のケースがほとんどです。
・入れ歯の縁の部分が歯茎に食い込んだり、擦れて傷になっている
・入れ歯の内面に種やゴマなど小さくて硬いものが入り込んでいる
・入れ歯のバネをかけている歯の周りが痛い
・入れ歯にひびが入っていたり、欠けていたりして歯ぐきが傷ついている
最も多いのが一番最初の入れ歯が合わずに縁が歯茎に食い込んで口内炎のようになってしまっている場合です。
参考:テーマパーク8020
入れ歯で痛みを感じたら
入れ歯で痛みを感じたら、すぐに歯科医院へ相談して調整をしてもらうようにしましょう。この時に注意して欲しいのが、「入れ歯を長時間外したまま歯科医院へ行かないこと」です。
入れ歯を長時間外したままにしておくと、入れ歯がどこに当たってどこに痛みがあるのかわからなくなってしまうからです。
入れ歯の痛みは患者さんにしかわかりません。調整を行う歯科医師は患者さんの言葉と、実際にお口の中をみながら手探りで調整していくのです。
辛いかとは思いますが、調整してもらう最低でも1日前から入れ歯をお口に装着したままにしておきましょう。そうすることで強く当たっている部分の粘膜が赤くなり、どこに強く当たっているのかわかりやすくなります。
ただし、もちろん痛みが大きい場合はおやめください。それほど痛いなら当たってる部分はすぐにわかるはずです。すでに大きな傷ができていて装着するだけでも強い痛みを感じる場合は無理に装着しなくて大丈夫です。
参考:日本補綴歯科学会
まとめ
今回は、入れ歯による痛みについてお話ししました。新しく作ったばかりの入れ歯はお口にピッタリと合っている状態ではないため、使っていると痛みを伴うことが多いです。
そのため、入れ歯は完成した後も何回か通い、入れ歯の調整を行う必要があります。
痛みを感じたまま入れ歯を無理やり使ってしまうと、潰瘍ができてしまうこともありますので、すぐに入れ歯を作成した歯科医院へ相談しましょう。
当院でも患者さんのお口に合ったオーダーメイドの入れ歯を作っております。その人に合うまで細かく調整していきますので、今の入れ歯が合わなくて悩んでいる方、入れ歯にしようか悩んでいる方はぜひ、一度ご相談ください。入れ歯の作成のポイントは、やはり噛み合わせがとても大切です。
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