執筆:歯科医師 河合良治
歯を失った場合に、選択肢の一つとしてあるのが「義歯(入れ歯)」です。
その人にあった入れ歯を作製する必要があり、制作過程がいくつか別れているため入れ歯が完成するまでには少し期間が空いてしまいます。今回は入れ歯ができるまでの期間についてお話ししていきます。ぜひ参考にしてみてください。
入れ歯ができるまでの期間
入れ歯ができるまでの期間としては一般的に1ヶ月ほどです。これは入れ歯の型取りを行ってからですから、抜歯などの処置が必要な人はもう少しかかる場合もあります。
入れ歯が出来上がるまでの過程
入れ歯ができるまでには下記のようにいくつかのステップがあります。
ここでは、スタンダードな入れ歯ができるまでの過程をご紹介します。医院や患者さんの状況によって、もう少し短くなったり長くなったりすることもあります。
①個人トレーの印象
個人トレーとは、その患者さん専用のトレーのことを指します。このトレーを作るためにまず最初の型取り(印象採得)を行います。
↓(5日〜10日ほど)
②個人トレーによる印象採得
個人トレーができてきたら、そのトレーを使って2回目の型取りを行います。個人トレーを使うことにより、より精密でその人にあった入れ歯を作ることができます。
↓ (5日〜10日ほど)
③咬合採得
個人トレーの型取りを元に、仮の土台にロウが盛られた入れ歯の土台(ロウ堤)が出来上がってきます。それを患者さんのお口に装着して、噛み合わせの位置などを確認して記録を取っていきます。
↓(1週間ほど)
④試適
噛み合わせを元に人工歯を並べて出来上がってきた仮の入れ歯をお口に装着し、見た目やフィット感、噛み合わせを確認していきます。問題がなければ最終的な入れ歯を作成していきます。
↓(1週間から10日ほど)
⑤完成
最終的な入れ歯が出来上がってきますので、お口に装着してみて強く当たる部分の調整を行っていきます。
このように一般的な入れ歯の作成の期間には、1ヶ月ほどかかります。ただし、個人トレーではなく既成のトレーを使って印象する場合もあります。その場合は1工程減るため少し期間が短くなります。
全ての歯を入れ歯で作る「総義歯」ではなく、部分的な「部分義歯」の場合は個人トレーを作らないケースも多いです。
とはいえ最低でも3週間ほどはかかり、その間は以前に使っていた入れ歯がない場合や仮歯を入れない場合には歯がない状態が続くかもしれません。
義歯を作るのには少し時間がかかるということを理解し、できるまではマスクをつけるなど対策するようにしてください。
参考:日本補綴歯科学会
入れ歯がフィットするまでの期間
入れ歯が完成したらそれで終わり!というわけではありません。新しい靴と一緒で、新しい入れ歯は調整を行わないと靴擦れのように痛い部分が出てきてしまいます。
そのため、入れ歯ができた後も、その人のお口に合うまでには数回程度調整を行う必要があります。
あまり調整をしてもらうのは悪いのではないかと思われれる方もおられますが、入れ歯が合わないととても辛いので、遠慮なさらずに治療を受けてください。当医院では痛みだけでなく、しっかり噛めるまで納得していただけるまで治療しております。
入れ歯の調整が落ち着く期間は人によってさまざまです。1ヶ月ほどかかる方もいます。
痛いところがあれば長くなっても、辛抱強く調整していくことで自分のお口にあった入れ歯になっていきます。
まとめ
今回は入れ歯が完成するまでの一般的な期間と、入れ歯が完成した後お口に合っていくまでの期間を説明していきました。入れ歯が完成するまでは最低でも4回ほどは歯科医院に通う必要があります。
また、完成したあともお口に合うまで調整が必要で歯科医院に通うことになりますが、快適な食生活のためにもしっかりと治療を受けるのをお勧めいたします。
当院でも患者さん一人ひとりにあった入れ歯を作ることを心がけています。他院で作った入れ歯が合わない、入れ歯を作ろうか悩んでいるという方は、ぜひ一度当院でご相談ください。
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