執筆:歯科医師 河合良治
歯を失ってしまった部分にご自身と同じような人工歯を作ることができる「インプラント」。最近では、技術が進歩し、システムも簡素化され、たくさんの歯科医院で取り扱うようになっていることで、以前よりも身近な存在になってきました。
こちらの記事を読んでいる方は、インプラント治療をしようか迷っている、もしくはインプラント治療を控えているけれど不安なことがたくさんあるといった方が多いのではないでしょうか?
今回は、インプラント手術をするにあたって、食事の注意点についてお話ししていきます。
インプラント手術前の食事
インプラント手術がある前日やそれより前は、基本的にいつも通りのお食事をしていただいて大丈夫です。
ただし、アルコールは控えるようにしましょう。過度な飲酒は免疫力を低下させてしまい、インプラント後の治癒力が低下してしまう原因にも繋がります。
コップ1杯程度であれば問題ありませんが、できれば前日は安静にしてアルコールやタバコなど刺激になるものは控えるといいでしょう。
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インプラント手術当日の食事
インプラント手術当日は、できれば軽く食事を取ってきてから手術に望むようにしましょう。何も食べていない空腹の状態ですと、低血圧や貧血など体調不良の原因になってしまいます。
また、手術後は麻酔や傷口などの影響ですぐに食事が取れない状態です。お腹がいっぱいになるまで食べるのは避けて欲しいですが、何かお腹に入った状態がベストな状態です。
インプラント手術後の食事
一番気になるのがインプラント治療後の食事ではないでしょうか?麻酔も効いていて、切開などをした後にいつから食事はとっていいの?と不安に思うでしょう。
結論から言いますと、麻酔がきれて感覚が戻ってきたら食事は可能です。しかし、手術をした部位で噛まないように注意しましょう。
また、術後の傷口はとてもデリケートですので、刺激物や固いものはできるだけ避けるようにして、2日ぐらいはおかゆや柔らかめのうどんなど柔らかいものを食べるようにしてください。
インプラント手術は、歯ぐきを切開し、顎の骨に穴を開けそこにインプラント体(スクリュー)を埋め込んでいます。スクリューが骨に定着し、傷口が治るまでには少し時間がかかりますので、術後は極端に固いもの(ナッツ、フランスパン、飴、氷など)を噛むとインプラント体や骨に悪影響が及んでしまうこともありますので避けましょう。
食事の後はしっかりインプラント治療部位のケアを
インプラント治療後は傷口の治りを良くするために、あまり触らないようにすることも大切ですが、汚れが溜まってしまうと治りが悪くなってしまう原因にもなりますので、食事の後は必ずインプラント治療部位のケアをおこなようにしましょう。
インプラントが入る予定の部位の隣の歯は汚れが溜まりやすい場所になりますので、、できれば歯ブラシやタフトブラシを使ってしっかりと歯垢(プラーク)を除去しましょう。また、殺菌作用のある洗口液(マウスウォッシュ)を使うこともおすすめです。
インプラントで人工歯が入った後の食事
インプラント体が骨に定着した後は、2次オペでアタッチメントを入れ、その後上部構造と呼ばれる被せ物が入ります。基本的に、被せ物はセラミックやジルコニアなどの素材になると思います。
これらの素材は、強い衝撃には弱いため歯が入った後も極端に固い食べ物は避けるようにしましょう。それ以外であれば基本的に普段通りお食事していただけます。
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まとめ
今回はインプラント治療と食事の関係についてお話ししました。インプラント治療では、そこまで大きな食事制限はありませんが、傷口の治りを妨げないためにも術後は固いものや刺激物を控えるようにしましょう。
インプラント治療では、入れ歯やブリッジに比べてご自身の歯のように食事を楽しむことができます。手術があったり、費用が高めだったりと最初のご負担は大きいですが、インプラントが入った後の快適な食事や美しい見た目などメリットがたくさんあります。
インプラント治療で悩んでいる方は、一度お気軽にご相談ください。
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