執筆:歯科医師 河合良治
歯を白くする効果のある「ホワイトニング」清潔感が出ることや笑顔に自身がもてると、多くの人がホワイトニングを気軽に行うようになりました。
しかしその一方で、「ホワイトニングは歯に悪いのでは?」といった噂も耳にするようになりました。今回はホワイトニングが歯に悪いのか?についてご説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
ホワイトニングは歯に悪い?
歯に薬剤を浸透させ歯を漂白するホワイトニングは、強い薬剤を使うことから歯に悪いのでは?と言った噂が流れることがありました。
しかし、ホワイトニングで使用する薬剤は国でも安全を確認されている薬剤の濃度です。また、歯科医師の管理の元に行われるため歯に悪いことはありません。
歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」は、強めの濃度の薬剤を使うため歯科医師と歯科衛生士による施術でしかすることはできません。また、患者さんがご自宅で行う「ホームホワイトニング」は濃度が弱いものを使用しているため、安全に使用していただけます。
ただし、ホワイトニングを行うことで副作用が起こることがありますので、その点に注意する必要があります。後ほど詳しく説明していきますね。
参考:日本歯科審美学会
ホワイトニングで使う薬剤
ホワイトニングの副作用を話す前に、ホワイトニングで使用する基本的な薬剤についてお話ししましょう。
過酸化水素
ホワイトニング剤の最もメジャーな成分で、ホワイトニング剤のほとんどがこの成分でできています。
過酸化水素には漂白する作用があり、消毒薬として使われている「オキシドール」と同じ成分です。この成分はFDA(米国食品医薬品局)において安全性を認められている成分です。
ただし、濃度の高い過酸化水素が歯肉などに付くと炎症を起こしたりするので正しい取り扱いが必要です。
過酸化尿素
ホームホワイトニングに使われる薬剤によく使われる成分です。ホワイトニング剤として使用する場合、先ほど紹介した「過酸化水素」と「尿素」に自然分解されます。
過酸化水素よりも漂白効果はマイルドですが、そのため、痛みが出にくいと言った特徴があります。
ホワイトニングで起こりやすい副作用
基本的には安全な成分を使うためトラブルが起こりにくいですが、中には副作用が出てしまうケースもあります。ここではよくみられる副作用についてご紹介します。
知覚過敏
普段から歯ぎしりをしている、歯の磨きすぎなどでエナメル質が削れ、象牙質が露出している人は、ホワイトニング剤が象牙質に着くことで知覚過敏を起こしやすくなります。
また、日本人は特に欧米人に比べてエナメル質が薄いですので、しみを感じやすい人が多いです。多くの場合は、3日もすれば慣れてしまいますが、シミが強い場合は一旦ホワイトニングを中止して様子を見るようにしましょう。
知覚過敏がある人は、歯科医院で専用のお薬を塗ってもらうか、ご自宅で知覚過敏用の歯磨き粉を併用するのがおすすめです。
参考:テーマパーク8020
歯の色のムラ
ホワイトニングを始めたばかりの頃に、歯の色が所々白くまだらになってしまう現象が見られます。
しかし、これは一時的なものでホワイトニングを続けていくと全体の色が馴染んで白くなっていきますので、根気強くホワイトニングを進めていきましょう。
ホワイトニング後にはフッ素の塗布がおすすめ
ホワイトニング直後は歯のエナメル質が薬剤の影響を受けているため、知覚過敏などの副作用を起こしやすくなります。
しかし、時間がたてば唾液の再石灰化効果で元の歯に戻っていきますが、その効果を助けるためにもフッ素塗布をしてもらうとよいでしょう。
フッ素には歯の質を強くする効果があり、虫歯を予防してくれる効果もあります。ホワイトニングをする際には、ぜひ歯科医院でフッ素の相談もしてみましょう。
まとめ
今回はホワイトニングが歯に悪いのか?についてお話ししました。ホワイトニングは国でも認可されている安全な薬をつかっているため、歯に悪いことはなく安全なものです。
しかし、中には知覚過敏などの副作用が出てしまう人もいますので、その場合は歯科医院で対処していきます。歯を白くしたい方、ホワイトニングに興味がある方はぜひ一度ご相談してください。
当院のホワイトニングについてはこちらもご覧ください。
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