執筆:歯科医師 河合良治
透明なマウスピースを装着して歯を動かしていく「インビザライン」は、取り外しが可能なことやワイヤー矯正よりも痛みが少ないなどのメリットから世代を問わず人気の矯正方法になります。
インビザラインでは、マウスピースだけで動きづらい場合は、さまざまな処置を併用して歯を動かしていくのですが、「アンカースクリュー」(ミニインプラント)もその処置の一つです。
今回は、インビザラインとアンカースクリュー(ミニインプラント)についてお話ししていきます。
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インビザラインで行うアンカースクリューとは?
参考:https://www.biorayusa.com/about-a1
アンカースクリューとは、歯科矯正用の小さなチタンネジのことです。このスクリューを顎の骨に埋め込み、固定源として歯を動かしていきます。ミニインプラントとも言うことがあります。
矯正治療は、動かしたい歯とそのための固定源を考える力学的要素が重要ですが、固定源も動くことを計算する必要があります。アンカースクリューを使うことでピンポイントで動かしたい歯だけに力をかけて動かすことができるため、他の部位に負担少なく治療が進められます。
スクリューは部位や動かしたい歯によって、適切なものを選択していきます。
インビザラインでもアンカースクリューを使うことがあり、スクリューとマウスピースの間にゴムをかけて引っ張る力で歯を動かします。
アンカースクリューを入れたあとは、2〜3週間ほど様子をみて、問題なければその後矯正治療に使っていきます。
アンカースクリューを入れるのは痛い?
顎の骨にネジを埋め込むと聞くと不安に感じる患者様が多いですが、骨には痛覚がなくアンカスクリューはとても小さなネジで、直径は1.4~2mm前後で長さは6~10mm 程度ですから、痛みを感じるとしたら、治療時に歯肉を触れる時です。
しかし骨に埋める際は麻酔を使うため痛みを感じることはありません。ほとんどの方が負担なく処置できたという方ばかりです。
大きな手術の場合は感染予防のために投薬もありますが、この手術の場合は鎮痛剤を一回お出しするのだけです。腫れもないです。
またネジの材質としては医療用のチタンを使用するために、金属アレルギーがある方でも使用することができます。
インビザラインでアンカースクリューを使うメリット
インビザラインでアンカースクリューを使うことにより、今まで難しいとされていた歯の動きが可能になるため、インビザラインで対応できるケースが広くなります。
出っ歯(上顎前突)や受け口の治療がしやすくなり、ヘッドギアなど大掛かりな器具を使わなくても治療が可能になっています。
<アンカースクリューの注意点>
喫煙をしている方や歯周病のある方は、アンカースクリューが定着せずに取れてしまうリスクが高くなります。また、健康な方でも10%の確率で脱落してしまうことがありますが、これは通常のインプラントと違い、骨と完全にはつかないためです。再度入れることは可能なのでそれほど心配は必要ありません。
アンカースクリューを入れる手順
①アンカースクリューを入れる部位に局所麻酔を行います
②消毒を行い清潔にします
③アンカースクリューをドライバーで埋め込んでいきます
処置自体は5分から10分ほどで終わります。処置中は麻酔が効いているため痛みを感じることはありませんが、人によっては違和感を感じる人もいます。
処置後は痛み止めが処方されますので、痛みがある場合は飲むようにしてください。
インビザライン後のアンカースクリュー
インビザラインが終了したあとは、アンカースクリューの除去を行います。
除去は入れるときよりも痛みを感じにくく5分程度で終了します。スクリューを外した歯肉は数日で元に戻り、骨も1ヶ月ほどで元の状態に戻っていきます。
まとめ
今回は、インビザラインとアンカースクリューについてお話ししました。アンカースクリューは小さなネジを顎の骨に埋め込み、固定源として歯を動かすものです。
効率的に歯を動かせるため、最近ではポピュラーな処置方法としてワイヤー矯正でなくインビザラインにも使われています。処置自体は麻酔をするため、痛みもなく短時間で終了します。
インビザラインをお考えの方で、アンカースクリューについて不安に感じている方は一度ご相談ください。当院では矯正相談も行っておりますので、お気軽にご予約くださいね。
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