執筆:歯科医師 河合良治
歯磨きをしたときに歯茎から出血する!なんて経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?
出血を繰り返している場合は、歯茎に何らかのトラブルが起きている可能性があります。重度のトラブルだと、歯にも影響を及ぼしていきますので早めの対処が必要です。
今回は、お口の出血とその原因、歯医者での治療についてお話ししていきます。
歯茎から出血している!その原因は?
歯茎から出血する原因にはいくつかあります。それぞれ詳しく説明していきますね。
歯肉炎や歯周病
「歯肉炎」や「歯周病」は歯茎から出血を起こす、もっとも多い原因です。
歯磨きをした時や、歯医者で歯石とりのクリーニングをしてもらった時に出血したという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
歯茎からの出血は、歯茎の歯肉がトラブルを起こしているサインです。
私たちの歯茎はサーモンピンクでキュッと引き締まっており、歯磨きやクリーニングなどで出血しない状態が健康な状態です。
しかし、歯肉炎や歯周病を起こしていると、歯茎が炎症を起こし赤く腫れぼったくなり少し触っただけでも出血するようになります。
歯肉炎や歯周病は、お口の中に溜まっているプラーク(歯垢)や歯石が原因で起こります。そのため、お口からそれらを除去することで歯肉が治癒し徐々に改善されていきます。
関連記事:「歯肉炎」ってどんな状態?歯医者ではどんな治療をするの?
参考:日本口腔外科学会
ホルモンバランスの乱れ
特に女性の場合は、妊娠中に女性ホルモンの分泌が盛んになります。
歯周病菌は女性ホルモンを餌にするため、歯肉炎を起こしやすいのです。(妊娠性歯肉炎)
この場合の歯肉炎もプラークが原因で起こりますので、歯磨きやクリーニングなどでのプラークコントロールが必要になります。
病気や生活習慣の乱れ
糖尿病などの病気にかかっていたり、生活習慣が乱れていたりすると免疫力が低下し、歯茎が腫れやすくなります。
疲れが溜まっているとき、睡眠不足時に歯茎が腫れるという経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか?
根本的な病気を解決するために、プラークコントロールを行う必要があります。
歯茎が出血する場合の歯医者での治療法
歯茎から出血が続く場合の一番の解決策としては、ご自身の歯磨きになります。それと同時に歯医者でもプロによるチェックを行い原因を究明します。
必要時にはクリーニングを行いますが、クリーニングで出血が解決するわけではありませんので注意してください。
繰り返しになりますが、歯茎が出血を起こす主な理由は、歯肉炎や歯周病です。
これらは、お口の中にプラーク(歯垢)や歯石が残っているために、それらを住処にして歯周病菌が増え、毒素を出してしまうことで歯肉の炎症で起こります。
そのため、歯磨きで改善しない場合には、クリーニングでプラークや歯石を落として、プラックコントロールしやすくしてあげることが重要です。プラークはご自身の歯磨きで落ちますが、硬くなった歯石はご自身の歯磨きで落とすことはできないからです。
そのため、この場合歯科医院で専用の器具を使って歯石を落とす処置を行なっていきます。また、ご自身では取りきれない汚れを落とし、歯の表面をツルツルに磨くことでプラークをつきにくくするといった効果もあります。
歯周病が進行している方は、このクリーニングの他にも歯周ポケットの深い部分をクリーニングするSRP(スケーリングルートプレーニング)といったディープクリーニングを行い、歯茎の腫れや出血を改善していきます。
歯医者での歯磨き指導で正しいブラッシングを
歯茎からの出血を予防・改善するには日頃からの正しい歯磨きが重要になります。
しかし、正しい歯磨きの仕方を知っている人は意外に少なく、磨き残しをしてしまったりプラークが落とせていない方が多いです。
そこで、歯科医院のクリーニングの際に歯科衛生士さんによるブラッシング指導を受けてみてください。正しいブラッシング方法を教えてもらうことにより、ご自身の磨き癖や汚れが落ちていない部分を知ることができます。
また、歯ブラシだけでなくフロスや、タフトブラシなどの清掃補助具の使い方も教えてくれます。
ご自身が使っている歯ブラシを持っていってもいいですので、気軽に相談してみてくださいね。
当医院では予防プログラムを通して歯周病にならないお手入れ方法を身につけていただきます。
まとめ
今回は、歯茎からの出血の原因と歯医者での治療法についてお話ししました。歯茎からの出血の主な原因は歯肉炎や歯周病によるものです。
これらはお口の中にたまるプラーク(歯垢)が原因で起こってしまうため、日頃から正しいブラッシングと歯医者でのクリーニングでお口の中を清潔にしておくことが重要です。
歯医者では、クリーニングの他にも歯磨き指導や、フッ素塗布などを行なっていますので、お気軽にご予約ください。
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