執筆:歯科医師 河合良治
顎の骨に直接埋入し、自分の歯のように使えるインプラント。
最近では取り扱う歯科医院も増えたことから、以前よりも身近な治療になってきています。そんなインプラント治療ですが、まだまだどんな治療方法なのかわからないという方も多いでしょう。
今回は、インプラントの土台にもなる「アバットメント」についてお話ししていきたいと思います。ぜひ、参考にしてみてください。
インプラントの構造について
アバットメントについてお話しする前に、まずはインプラントの基本構造について理解しておきましょう。
インプラントは、顎の骨に埋入するネジのような「インプラント体」そして、その上に土台として建てる「アバットメント」、最後に被せる人工歯の「上部構造」です。
この3つの構成で成り立っているのですが、インプラントの術式としては以下の2通りあります。
①1回法:インプラント体とアバットメンとを1回で埋入する
②2回法:インプラント体を埋入し、安定したらアバットメンとを設置する方法
なお1回法の手術で仮につけておくアバットメントのことを「ヒーリングアバットメント」と言います。
術式についての詳しいことは、また別の機会でお話ししていきますね。
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インプラントのアバットメントについて
先ほどもお話ししたように、アバットメントはインプラント体と上部構造(人工歯)をつなぐ小さな部品です。
アバットメントに使われる金属としては、主に「チタン合金」が使われます。その他にもまれにジルコニア、金合金が使われたりもします。
チタン合金は生体親和性が高く、安全な金属として医療の現場でたくさん使われています。
インプラントの部品の中でも、特に小さいですがその役目はとても重要なものです。以下でアバットメントの役割についてお話ししていきますね。
インプラント体と上部構造をつなぐ
アバットメンとの最も大事な役割が、インプラント体と上部構造をしっかりと連結させることです。
アバットメントとインプラント体自体はネジで固定されているため、歯科医院で専用の器具を使えばすぐに取り外すことができます。
そのため、不具合があってもすぐに対応でき微調整も可能です。
インプラント体とアバットメントが一体化している「ワンピースタイプ」のインプラントもありますが、強い衝撃が加わった際にアバットメントとインプラント体のどちらもダメになってしまうことがあります。
そのため、最近ではアバットメントとインプラント体が別々になっている「ツーピースタイプ」が主流になっています。
インプラント体の傾きを補正する
顎の骨の厚みや向きによっては、手術の際にインプラント体が真っ直ぐに埋入できないこともあります。
そこで、そんな傾きを補正してくれるのがアバットメントになります。
アバットメントには最初から傾きがついているものもあるので、ズレを補正し正しい噛み合わせでものが噛めるようにしてくれます。
噛み合わせの高さを調節する
アバットメントには噛み合わせの高さを調節する役割もあります。
インプラント体と人工歯だけでは、細かい噛み合わせの高さの調節ができません。
アバットメントが入ることによって患者様の歯肉の厚さ、インプラントの埋入角度などを考慮してその人にあった高さにすることができます。
まとめ
今回は、インプラントのアバットメントについてお話ししていきました。
人工歯やインプラント体に比べると小さく目立たない存在ですが、インプラント治療になくてはならない存在です。
当院では、インプラント治療に力を入れており、その人にあった治療計画を立てていきます。また、インプラントには実績と信頼の高い、複数のインプラントメーカーを取り扱っております。
インプラント治療を考えているけど、不安がある方はぜひ一度お気軽にご相談ください。