執筆:歯科医師 河合良治
むし歯は一度進行して、歯が溶けてしまうともう2度と元の状態には戻りません。人工的な詰め物や被せ物をするか、最悪の場合には抜歯が必要になることもあります。
そんな状態にならないためにも、虫歯治療は早めの段階で行うことが重要です。今回は歯医者で虫歯治療を早めに行うことのメリットや、虫歯の段階についてお話ししていきます。
虫歯の進行度
虫歯と一言で言っても、その進行度によって治療方法や歯の寿命は変わってきます。ここでは一般的な虫歯の進行度についてお話しします。
CO(要経過観察)
COは「Caries Observation」の略で、経過観察が必要な歯に対してつけられます。
この状態は、まだ虫歯になりきっていない歯の表面が白く脱灰した状態です。正しい歯磨きで回復することがありますので積極的な治療はせず、ケアと経過観察を行っていきます。
C1(エナメル質の虫歯)
虫歯が歯の一番外側にあるエナメル質だけにとどまっている段階です。
歯の表面に穴や凸凹を感じることがありますが、痛みなどの自覚症状が現れることはほとんどありません。
この場合は、虫歯部分を削り取って白い樹脂の詰め物で治療が可能です。1回の治療で終了します。
C2(象牙質の虫歯)
虫歯がエナメル質の一つ下の層である、象牙質まで達している段階です。
象牙質には、象牙細管と呼ばれる空洞があることから神経に近く、この状態になると痛みやしみを感じやすくなってきます。
基本的には虫歯を削り、白い樹脂の詰め物で治療が可能ですが、痛みが強い場合は、神経をとる処置をする必要があります。
C3(神経まで達している虫歯)
虫歯が神経にまで達している状態です。
神経が虫歯菌に感染することで強い痛みを引き起こし、放置しておくと神経の根本に膿が溜まっていきます。
早い段階で神経をとる処置が必要になり、その後は人工の歯を被せる処置が必要になります。
神経の治療は1回では終わらずに数回通院が必要になり、さらには歯を被せる治療も必要になりますので、何回も歯科医院に通う必要があります。
C4(歯冠が崩壊している状態)
虫歯が進行し、歯冠(口の中に見える歯の部分)が崩壊してしまっている状態です。
歯の根っこ部分しか残っていないこともあります。この場合は、歯の保存が不可能となるため抜歯をする必要があります。
参考:e-ヘルスネット
歯医者で早めの虫歯治療が大事なわけ
虫歯の進行度を説明しましたが、見てわかる通り虫歯治療が早ければ早いほど簡単な処置で済みますし、痛みも少ないです。
特に、C3まで進行してしまうと強い痛みを感じるようになりますし、治療も大変なものになってきます。歯の予後も悪くなり、早い段階で歯を失ってしまうことになるかもしれません。
ただ、初期虫歯はご自身ではなかなか気づくことができません。なので、何も症状が出ていなくても3ヶ月に1回や半年に1回定期検診に足を運ぶようにしてください。
歯科医師が細かい部分まで診察してくれ、初期虫歯を発見することができます。また、検診ではクリーニングやフッ素塗布なども行うので虫歯予防にも繋がります。
痛くなってからでは、手遅れの状態になってしまいますので、早め早めに診てもらいましょう。
関連記事:歯医者の定期検診ではどんなことをするの?どのくらいのペースで行くべき?
まとめ
虫歯にはいくつか段階があり、進行するごとに虫歯が神経に近くなっていき、最終的には歯がボロボロになってしまい抜歯が必要になることも。
そのため、初期の段階で早めに治療をすることが重要です。
痛みやしみなどの症状がなくても、一度歯科医院へ定期検診へ行ってお口の中を診てもらってください。
当院では、定期的な歯科検診もお受けしておりますので、お気軽にご予約ください。
一緒に虫歯のないお口作りをしていきましょう!
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