3時間で八重歯が治る!?
執筆:歯科医師 河合良治
インスタというSNSで変なものをみてしまいました。
3時間で前歯全体、八重歯がきれいに治るという治療が紹介されていたんです。(汗
それをドクターが笑顔で紹介しているのですが、これにはびっくりしました。
いろいろな人がいていい、いろいろな歯科医がいていいとは思っているものの、
さすがに同じ歯科医師として、ちょっと残念な気持ちになりました。
本当にリスクを知ってもらって治療しているのだろうか??
そして、
その先生は自分の歯にもそのような治療をやれるのだろうかということです。
サイトをみてみると1日目に前歯の神経の治療をダダっとして仮歯を入れて、
2回目に歯型をとって3回目に歯をかぶせるのだそうです。一本ならまだしもこんなにたくさんの歯を、どんな治療の達人でもこれはなかなか難しいわけです。患者さんから見たらわからないレベルとだとは思いますが。
歯科医師というだけで多くの人は信頼するわけですから、こういうのは注意しないといけない、むしろやめてほしいというのが本音です。歯がファッションのように着替えれば済むなら話は別ですが。
審美治療に重要な要素とは
そもそも審美治療とは、エステティックを重視するということですが、どういう見え方をするかがポイントなわけです。
つまりその歯がきれいとか?きれいでない!?とか
なぜそう見えるのかということです。
→ →きれいにみえる大前提は、その歯自体が
理想的な位置で理想的な向きに向かってはえているかということことです。
そうでないと歯の色とか形とかを整えても、きれいには見えません。
ですから、
そうなっていない歯に対して理想的でない歯に対して、理想的な状態をすることが目標ですが、
そのためには、角度を変えるために神経の治療をして大きく方向を変えてしまう方法や、抜歯する方法、歯に被せるという方法があるわけです。
このうち、とくに注意が必要なのが神経の治療をすることです。
というかこれをどう避けるかということが重要です。(年齢や歯の健康状態にもよります。)
歯は埋まっている根の部分と出ている歯冠部分があるわけですが、
この歯冠部分を根とは違う方向にしてしまおうというわけです。
力学的に考えると、歯冠部分の力が根に伝わり、歯を支えるわけですが、曲がっているのと直線ではまるで耐久度が違うわけです。
さらに若いうちに神経の治療をするということはいろいろなリスクがあるわけです。
こんな乱暴な治療をしては、人生100年時代ということを考えると、歯に対して良い治療とは言えずに、本末転倒ではないかというのが私どもクリニックの方針です。(リスクの審美治療はご提案可能です。)
すでにそういう治療をしてしまった方はたくさん来院されております。その後どうやってリカバリーして、10年後も素敵な笑顔でいくことを一緒にプランニングして頑張って治療しておられます。
前歯の見栄えと噛み合わせの重要な関係
審美、前歯の見栄えは実は噛み合わせがすごく関係しています。
前歯がきれいなのは、顎がスムーズに動きやすいことにつながります。歯軋りで歯がすり減ってるのは、顎が動くときに顎からすると邪魔な位置に歯があるので、すり減るのです。
だから噛み合わせと審美は密接な関係があるのです。かつて、美容歯科やかみ合わせ歯科、インプラント歯科などのランキングが全盛のころ、口コミ評価を多くいただき、よくランキング上位になりました。しかし、この頃はそういうのがだめになってきて、アフィリエイト目的のランキングサイトが多くなってきています。
この流れからすると、たくさんお金が入る乱暴な美容歯科さん経由でまた不幸な人たちを作ってしまうのではないかなと、心配になってしまいます。
とくに美容歯科での根の治療は、乱暴な場合も多く、というかほとんどですからね。その後に2度目の根の治療をすることが多いのです。いったんきれいになってやってよかった!→ →いやこんなことになるなら別の歯医者でやればよかった、別の方法でやればよかったとなるのです。こんな残念なことをなくしたいと我々は思って診療しています。
危険な美容歯科審美歯科まとめ
私たちが一番残念なのはむやみに神経の治療をしてしまうこと。
そして、その根が折れたり、病気になってしまうこと。
その治療は本来はいらない治療ってわけですね。これって残念ですよね。私たちも美容歯科はかなり得意な部分なので、そういう場合の対策はいろいろとあります。
撲滅しよう。乱暴な美容治療。
審美治療成功の奥義
噛み合わせは整っているか?
ステップを踏んだ治療になっているか?
無理のない材質選びをしているか?
元々の歯の健康状態は適切か?
急がば回れ!