執筆:歯科医師 河合良治
マウスピース矯正、ワイヤー矯正比較、メリット・デメリット
歯列矯正をしたい方で、マウスピース矯正、ワイヤー矯正で迷われる方も多いでしょう。自分はどちらを選べばいいの?など疑問に思う方も多いようです。こちらの記事では、マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いについて、それぞれのメリット・デメリットを踏まえ詳しく解説していきますので参考にされてください。
マウスピース矯正
まず、以下のマウスピース矯正のメリットデメリットは、適応条件をしっかりと満たした場合です。適応でないとメリットは享受できませんのでご注意ください。
- 目立たない
- 自分で外せる。自分で着脱可能なので、歯を動かす際の痛みを軽減できる
- 着脱可能なため清掃や食事がしやすい
- 違和感や発音障害がでづらい(歯並びによっては違和感があります。)
デメリット
- マウスピースの装着時間を守らないと効果がない(20時間以上)
- マウスピースを紛失すると進まない
- 歯の移動が多い場合など、全ての症例に対応できない
- ワイヤー矯正よりも高額になることもある
- 歯を削って隙間を作るので多い場合には虫歯になりやすい
- 自身で管理が必要。
- 難易度が高いケースでチャレンジ的に取り組むと、最終的にはワイヤー矯正でしか取り戻せないこともある。(事前の診断が重要である。)
- 長期症例になると奥歯の噛み込みが甘くなる。
一番のメリットは?
多くの患者さんと話していると、
マウスピース矯正の一番のメリットはやはり見た目が気になりづらいこと、ご自身で着脱可能なことでしょう。ただここは入れていないとまったく動かないので要注意です。
また装置が唇などににひっかかることがないため、違和感がでづらく、裏側に装置をつけた場合と比較すると発音の障害もあまり気になりません。しかし、マウスピースに関して違和感を感じて口に入れられないと言う方もいらしゃるので、テスト用の物を作るのをお勧めします。
また、マウスピース矯正はプラスチックの柔らかい弾性を利用して歯を移動させるため、ワイヤー矯正に比べて痛みを軽減することができます。
意外にあるデメリット
しかし、上記で説明したように、全ての症例に対応できないのがデメリットです。
これが一番よくあるケースなのですが、マウスピースを長時間装着しないと効果がないため、装着のし忘れなどには注意が必要です。
他にも、着色物の多い食べ物や飲み物はマウスピースの変色や着色の付着の恐れがあるため、控える必要があります。(コーヒーや赤ワインなど)
マウスピース矯正は安く始められると広告などでよく見かけることがありますが、インビザラインの模倣したものが多く、軽症に限っては安いのでもいいかと思いますが、大きなケースはほぼ治りません。すでに初めてしまってなおらないと言う方の相談も多いです。
症例によっては治療期間が異なるため、最終的(理想の歯並びになるまで)期間もかかります。また難易度に費用も変わってくることも多いです。
また、マウスピース矯正にもいろいろと種類がありますが、「インビザライン」などの矯正方法は一般的なマウスピース矯正と比べると、高額ですが圧倒的にデータ量と技術や実績が高いためここは一択でいいとおもいます。何とかラインというのもよく聞きますが、ほんの少し動かすだけしか不向きです。
マウスピース矯正についてはこちら>>>創業70周年池袋同仁歯科クリニック|マウスピース矯正治療のメリットとデメリット
【参考情報】e-ヘルスネット(厚生労働省)|矯正装置について
ワイヤー矯正
- 圧倒的な歴史とバックグラウンド
- ほとんどの症例に対応可能
- 確実・的確に歯並びを改善できる
- 歯の移動速度が早い
- 症例によっては一番リーズナブル
デメリット
- ゴミがつきやすい
- はの見え方によっては装置が気になる(表側の場合)
- 裏側は発音障害がでやすい
- 人によっては痛みを感じる(ただし中止を希望する方の経験はない。)
- 歯の清掃がしづらい
ワイヤー矯正はほぼ全ての症例に対応できます。そのため、マウスピース矯正では困難とされた症例でも、
確実・的確に歯並びを治すことができます。マウスピース矯正に比べ、歯の移動速度が早いのも特徴です。
また、症例にもよりますが、他の矯正方法と比べ一番リーズナブルに治療を受けられることもあります。(ただし、裏側矯正は別です)
歯を動かす際には、人によっては痛みを感じやすいというデメリットがありますが、近年では柔らかい素材のワイヤーを使用した矯正方法もあるため、痛みも以前に比べて軽減できるようになりました。
金具の見た目が気になるという方も、現在では白くて目立たない装置や、ワイヤーも存在します。
歯周病が進行すると矯正は難しくなるのでここは注意が必要です。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い
歯列矯正は大きく分けるとワイヤー矯正、床矯正、マウスピース矯正があります。このうち床矯正は小児や、成人の限られたケースしか使いませんので、今回は除きます。
大きく分けると、
見た目でわかるかどうか、
歯に直接装置をつけるのか?マウスピースを使って歯を移動するのかと移動様式が異なります。
あとは、
自分で着脱できるか、通院間隔など変わってきます。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、ここ10年くらいで確立されてきた治療法です。とくにインビザライン が有名です。当初は限られたケースしか適応しませんでしたが、進化を遂げてきました。方法は、その名の通りマウスピースを用いた矯正方法です。
歯型を取り、模型から歯を動かすように設計された着脱可能な透明のマウスピースを使用して、歯を少しずつ移動させます。
マウスピース矯正では、使うシートごとに移動させる歯が異なるので、期間が過ぎたら新しいマウスピースとご自身で交換していきます。ワイヤー矯正はワイヤーを歯科医院で一定期間ごとに変えていきます。
見た目があまり気にならないのが特徴で、歯列矯正をしていることが気付かれづらいことから、近年ではマウスピース矯正は人気となってきました。
しかし、全ての歯並びに対応できるわけではなく、前後的な移動が少ないケースに向いています。
骨格の問題(顎の変形や顎の過度な成長など)や、奥歯の前方移動を必要とするケースは特に不得意です。また、抜歯を必要とするような歯の移動が大きい場合には、かなり期間を要します。その場合は、果たしてそこまでしてマウスピース矯正を選択するのはメリットがあるのか、あなたの優先順位を考えてみてください。その場合はワイヤー矯正の方が早いです。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、歯の表面に金具などの装置を装着して、歯に力をかけて動かしていく、一般的な歯列矯正方法です。1番歴史があり予後が安定しています。
歯にブラケットという装置を装着し、ブラケットにワイヤーを通すことによって、ワイヤーの力で歯を引っ張り少しずつ歯を移動させる矯正方法です。
装置は一度つけると治療終了まではつけたままです。外したりすると、歯に力が掛からないので全く同じ歯のケースならマウスピース矯正より早く動きます。
見た目を気にされる人もいらっしゃいますが、つねに歯が見えている場合を除き、意外に気になるものでもありません。むしろ矯正装置より八重歯の状態や歯並びが悪い方が他人は気になるものです。(本人は慣れてしまってる)
またマウスピース矯正とは違い、ほとんどの症例に対応可能です。
見た目が気になる方には「裏側矯正」といった、歯の裏側に装置を付ける方法もあります。ただし、発音障害や違和感、舌感が悪いなど実は気になることも多いです。また費用や期間も通常の1.5倍くらいが平均相場です。
詳しい矯正治療についてはこちら>>>創業70周年池袋同仁歯科クリニック|矯正歯科(噛み合わせをしっかりと)
【参考情報】e-ヘルスネット(厚生労働省)|矯正装置について
定期的な歯科医院でのクリーニングや、ブラッシング指導が重要となってきます
まとめ
マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いを紹介しましたが、どちらの矯正方法がご自身に合っているかは、歯科医院での診断が必要です。
歯の移動が大きい場合は、無難にワイヤー矯正がお勧めです。
それぞれの主な違いを説明しましたが、マウスピース矯正とワイヤー矯正の中にもさまざまな種類や特徴があります。
歯列矯正を行いたいけど、どの方法がいいのか分からないという方も、患者様に合った最適な治療方法ご提案させていただければと思いますので、まずはお気軽にご相談ください。