執筆:噛み合わせ認定医 河合良治
お子さまの歯並びが気になる方や、ご自身の歯並び治療をはじめたい方にとって、
治療にかかる期間はどれくらいなのか?という疑問があるのではないでしょうか?
矯正歯科治療には、継続した治療が必要なため、
十分な治療期間が取れる時期に開始することをお勧めします。
矯正装置を装着する期間
ワイヤー矯正、マウスピース矯正ともに、全体の歯を移動する通常の場合は、1年から2年程度の期間を想定しましょう。ただし、奥歯を前後に動かす場合は難易度が高くなり、とくに成人女性の場合はもう少し時間を要する傾向があります。一見すると直っているように見えても、実は正しい顎の位置にあっていないことがあるためです。
通常の矯正医なら外すことをするかしれませんが、我々は生涯で一回の矯正にして欲しいと思っているため、このあたりはきっちりと仕上げていきます。
基本的には、年単位の治療が必要ですが、一部の歯のみの歯並びを治す場合には、数か月単位で終了することがあります。
症例によっては、歯を移動するだけでなく、骨格の手術が必要な場合もあり、そういったケースでは歯の移動プラスして外科の期間が必要になります。
また、子どもと大人の場合でも期間が異なります。
これは、子どもの場合、成長途中であることから、歯根や歯を支える骨の状態が柔らかく、
歯の移動がスムーズに行われるためです。
しかし子供の場合よくある失敗が矯正後には歯科医院に行かなくなるということです。子供の歯はまだ成長していくため、変わっていきます。変化があればすぐにコントロールしていく必要があります。これをしないがために成人してからもう一度矯正をする人が多くなっています。
成人の場合には、移動が遅いため、治療ができないということではありませんので、ご安心ください。
一般的に、出っ歯の場合には1年、受け口の場合には2年といった決まりはなく、
患者様それぞれのお口の状態によって異なるため、治療開始前に、十分な説明を受けることが大切です。
矯正治療の相場についてはこちら>>>創業70周年池袋同仁歯科クリニック|矯正歯科治療の相場
【参考情報】公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会|治療期間について
治療期間が長くなる要因
治療が長くなる要因としてまず考えられるのが、抜歯です。
全ての症例に必要な処置ではありませんが、歯を並べるスペースが足りない場合、
小臼歯(前から数えて4、5番目)のいずれかを抜歯することがあります。
抜歯により、歯の移動が期待できますが、治療期間が半年ほど延長されます。
装置の違いも治療期間に影響します。
特に、ワイヤー矯正の場合、歯の表面に装置を付ける場合と、
歯の裏側に装置を見えないように付ける場合では、治療期間が異なります。
歯の裏側に装置を付けた場合には、半年ほど治療期間が長くなることをご了承ください。
その他に、考えられる治療が長期化する原因としては、
マウスピース矯正の場合に、十分な装着時間が取れなかった場合です。
1日20時間以上の装着を推奨していますが、マウスピース装置の装着は、
患者様の管理になりますので、指示通りに装着していただけるようにお願いいたします。
また、虫歯や歯周病がある場合には、歯科矯正開始前に、処置を行いますが、
治療期間中も虫歯や歯周病に注意が必要です。
特にワイヤー矯正の場合には、歯磨きがしにくいため、清掃状態の悪化が予想されます。
これまで以上に丁寧なブラッシングで、治療期間中に、虫歯や歯周病にならないように注意しましょう。
治療の中断は、できるだけ避けていただきたいことですが、
急な病気や、転居、受験など様々なご予定で通院ができなくなることがあります。
遠方への転居の場合には、転居先の矯正歯科へのご紹介も可能です。
中断している期間中に、装置が破損している場合など、治療が計画通りに進まないことがあります。
マウスピース矯正についてはこちら>>>創業70周年池袋同仁歯科クリニック|マウスピース矯正治療のメリットとデメリット
保定期間
長かった矯正治療が終了し、理想的な歯並びになると、やっと装置を取り外すことができます。
歯には、後戻りといって、元の位置に戻ろうとする力が働きます。
また、移動したばかりの歯を支える骨は安定していないため、
骨や歯肉の状態が落ち着くまでに数年の時間がかかります。
そのため、保定期間といって、“リテーナー”と呼ばれる装置をつける期間が必要です。
保定期間は、治療にかかった期間と同程度、成人は2倍程度装着していることが理想的です。
噛み合わせの力、歯や歯肉の状態などで変化することも歯は移動しやすいので定期検診が必須です。
矯正期間終了後も、定期的にメインテナンスに通院し、夜間はリテーナーを装着することをお勧めします。
歯列矯正・噛み合わせについてはこちら>>>創業70周年池袋同仁歯科クリニック|矯正歯科(噛み合わせをしっかりと)
【参考情報】東京医科大学 口腔外科学分野|保定期間について
治療期間について、概要をお解りいただけたでしょうか?
ここでご紹介した内容は、あくまでも大まかな期間です。患者様それぞれの歯並びの状態よって異なることにご留意ください。