執筆:歯科医師 河合良治
昨年は社会的にも色々なことがおこり、大変な一年でしたね。
楽しみだったことが無くなってしまったり、逆に新たな楽しみを見つけたりと、様々な変化があったことかと思います。
「健康の大切さをあらためて実感した」という方も多いのではないでしょうか。
さて、そんな「健康」ですがお口にももちろん病気はあります。
そのなかでも、
おそらく皆さん一度は耳にしたことがあるのが
『歯周病』。
「私は毎日歯をみがいてるから大丈夫」
と、思っていたら
実は歯周病になっていた!
なんてこともあるくらい
この病気にかかっている方は
意外にも多くいらっしゃいます。
歯周病とは|(日本歯周病学会参照)
さらに、
「歯周病っていっても、
別に痛くないし
たいしたことないんでしょ?」
と思っていたら、
それは大きな間違い!
放置してしまうと、歯を支える骨(歯槽骨)が溶け
歯がボロボロになっていくというのはもちろん。
恐ろしいことに、
歯周病菌が体に巡ってしまうと
様々な病気を引き起こす
要因になってしまいます。
今回はそんな
歯周病が招く全身の病気
についてご紹介します。
そもそも、歯周病とは
細菌が引き起こすお口の病気。
さきほども書きましたように、
自覚症状の無い方が多く
沈黙の病と呼ばれます。
進行すると歯ぐきが炎症をおこし、
骨(歯そう骨)が溶けはじめ、
最後には歯が抜けてしまう恐ろしい病気…。
これだけでも十分に恐ろしいのですが、
歯周病の怖いところはこれだけではありません!
歯ぐきが炎症を起こすと
そこから出血するようになります。
すると、そこから
お口の中のさまざまな細菌が
血管内に入り込み、
そのまま血流にのって全身に!
これが
「動脈硬化」
「高血圧」
「脳梗塞」
といった、
重大な病気の原因になるほか、
「糖尿病」を悪化させる要因
にもなるのです。
これだけの悪影響をおよぼす歯周病菌は
当然妊娠中の方にとってもよくありません。
歯周病の方と、そうでない方の
「低体重児出産・早産」のリスクは
およそ7倍もの差がある
というデータがあります。
これはアルコール摂取よりも高い割合。
それにも関わらず、
妊娠中は女性ホルモンのバランスが変わることで
歯周病菌が繁殖しやすいといわれています。
大変な時期かと思いますが、
お母さま、そしてお腹の中のお子さまのためにも
お口の中の状態には
よく注意していただくのがおすすめです。
つまり、歯周病を治療・予防することは
お口の中だけでなく、
全身の健康を左右するとても重要なこと
というわけですね。
ここまでが細菌が及ぼす影響からのお話でしたが、実は歯周病を増悪する因子に噛み合わせがあります。
よわった歯茎に強い力がかかることにより、さらに炎症が起こってしまうのです。
またぎゃくに歯周病の細菌がそれほど優位でなくとも、噛み合わせの力が強いと歯茎が減ってしまうことがあるのです。
やはり、お口の長期的な安定には、衛生環境の確立と、咬合バランスの確立がとても大切ですね。
重症化を未然に防ぐためにも
ぜひ歯科医院に定期的にご来院いただき、
2021年を健康に過ごす一歩!
としていただければと思います。
PS噛み合わせの診れる歯科医院なら_医)良口会 池袋同仁歯科クリニックです。