執筆:歯科医師 河合良治
歯並びにお悩みがある方は、歯科矯正治療について、様々な情報を収集しているおられるでしょう。
“マウスピース矯正ってどんな治療?”、“ワイヤー矯正との違いは?”など、ご自身のお悩みを解決するのに、どのような治療方法がよいのか、どこの歯科医院に相談したらよいのかと、すでにお悩みの方がいらっしゃるかもしれません。
今回は、近年、増加しているマウスピース矯正治療について、メリットとデメリットについて簡単にご説明いたします。マウスピース矯正治療をお考えの方は、ご参考になさってください。
マウスピース矯正とはどのような治療方法?
マウスピース矯正は、ご自身の歯型をもとに製作した透明のマウスピースを装着し、理想の歯並びへとゆっくりと歯を移動していく方法です。
この方法は、歯科矯正先進国のアメリカにおいて開発され、日本国内においては、まだ限られた歯科医院でしか提供されていない治療方法です。(どこでも同じではないのでクリニック選びは慎重に)
治療の方法を簡単に説明すると、以下の流れになります。
- カウンセリング
- 検査(レントゲン検査、歯や歯肉の健診)
- 歯型取り(3Dスキャナー)
- 専用ソフト上での治療計画のシミュレーション
- 専用のマウスピース製作
- 装着
装着時間
あなたの歯並びにぴったりあった矯正用のマウスピースを、2週間に1度、交換し徐々に歯を移動していきます。1日のマウスピースの装着時間は20時間程度を目安としています。20時間というのは食事の時以外すべて装着と言うことになります。就寝時はもちろん、お食事のとき以外は基本的に装着したままであることが効果的です。透明であることやや、あなたの歯専用に作られていてぴったりとしているので、違和感なく、会話もできコミュニケーションにおいて、あなたはもちろん他人にも違和感を与えることは少ないでしょう。
マウスピース矯正のメリット
最大のメリットと言えるのは、ワイヤー矯正と比べて、装置の着脱ができる、あなたご自身で行えることです。ワイヤーの場合には、歯の表面にブラケットと呼ばれるボタン状の装置と、ワイヤーを接着しているため、歯科医院でしか取り外すことができません。そのため、もし大切なプレゼンや結婚式などのイベントがある時は、一時的に外すと言う人も多くありました。こう言うことを避けたり、あまり他人から気づかれたくない・・という方には、マウスピース矯正はあっているでしょう。装置をご自身で取り外すことができるため、大切な面接などの場合でもタイミングに合わせてご自身で取り外すことが可能です。
そして、装置が取り外せるということは、ブラッシングが隅々まで行いやすいということです。ワイヤー矯正の場合には、装置と歯面の境目などが虫歯のリスクが高くなりがちで事前にしっかりと対策をしてから当医院では行っていますが、それでも中には十分にブラッシングができない方もおられるのも事実です。細菌が付着していれば口臭といったリスクも出てきます。
マウスピース矯正であれば、取り外してお食事を楽しんでいただいた後は、矯正治療を行う前と変わらずに全体をブラッシングすることが可能です。
マウスピース矯正のデメリット
マウスピース矯正の治療成果を効果的に発揮するには、マウスピースを規定の時間装着していることです。歯の移動に合わせた定期的なマウスピースの交換が必要です。
1つめ、
マウスピースの装着が患者様ご自身の管理下で行われるため、これは自由に外せるので逆に装着時間が短い場合や、予定通りにマウスピースの交換が行われない場合などは、十分な効果が発揮できないことがあります。計画通りにマウスピースを装着しなければ、マウスピース矯正のメリットである“取り外しができること”もデメリットになってしまうのです。
歴史がまだ浅いこと。
近年一気にデータが集まってきています。この数年は過去の数十年に匹敵する進歩です。ただ移動量が大きい場合や、大臼歯の近心移動(手前への移動)はやはりいまのところマウスピース矯正単独では難しく一部ブラケットを使用する方法が確実になります。
まとめ)
今回は、マウスピース矯正のメリットとデメリットについてご説明いたしました。
マウスピース矯正はまだ国内でも提供している歯科医院が限られているのが現状です。そして現在はマウスピース矯正はいろいろなメーカーから出てきていますが、ほんの数本の歯を動かすと言う少数の場合以外は、正直言ってしっかりと歯を動かすのはインビザライン一択です。
移動量が少ない場合、2回目の矯正などはインビザラインでしっかりと治せますが、移動量が大きい場合は一部ブラケットを使用したり、一部の期間にブラケットを使用して動かすと言う方法を併用することにより、従来マウスピースではできなかった矯正が可能になります。あなたの生活習慣や歯の移動量に合わせてマウスピース矯正かブラケット矯正を選択されるといいでしょう。