歯並びを綺麗に整える「矯正歯科」、セラミックなどで美しい歯へと変える「審美歯科」どちらも美しい口元にするといった目的がありますが、この2つにどのような違いがあるのでしょうか?
監修 噛み合わせ認定医 河合 良治
今回は審美歯科と矯正歯科の違いについてお話ししてきますので、ぜひ参考にしてください。
審美歯科と矯正歯科の違い
審美歯科と矯正歯科、どちらも美しい口元にすることができますが、「治療方法」や「目的」が異なります。審美歯科では短期間で美しい見た目に変えることができ「美」に最もフォーカスした治療になります。
矯正歯科では、ご自身の歯を活かして見た目にも美しいだけでなく、噛み合わせなどの機能的な面でも改善するといった目的があります。以下で2つの特徴について詳しくご紹介していきます。
審美歯科の特徴
ここでは審美歯科の特徴についてお話しします。
◾️目的
通常の歯科治療は噛む機能を回復する、噛み合わせを整えるなどが主な目的なのに対し、審美歯科は見た目を美しくすることを主な目的とし、それに加えて噛むなどの機能的な面も改善します。
通常の治療で、噛む、歯を補うなど機能的な面で回復は出来ますが、審美的な面にこだわることで患者様の表情を明るくし、クオリティーオブライフに貢献する目的があります。
参考:日本歯科審美学会
◾️治療期間
治療内容によって大きく異なりますが、一般的には1ヶ月〜2ヶ月ほどで治療が完了します。ただし治療する歯の本数が多ければ多いほど、治療期間は長くなる傾向にあります。
◾️治療方法
審美歯科の種類によっても治療方法は大きく変わってきます。最も有名なものは、ご自身の歯を削り、型取りを行って白い歯を被せる方法(セラミック治療・ジルコニア治療など)や歯を漂白して白くする方法(ホワイトニング)です。
◾️審美歯科の種類
審美歯科にもさまざまな種類があり、患者様のご希望によって治療内容が変わってきます。以下はよく見られる審美歯科のメニューです。
・白い詰め物や被せ物(セラミック、ジルコニア、メタルボンドなど)
・ラミネートベニア
・ホワイトニング
・ダイレクトボンデインング
矯正歯科の特徴
◾️目的
問題のある歯並びや噛み合わせを整えていくことで、正しい位置で物が噛めるように改善すること、美しい歯並びにすることを目的とします
◾️治療期間
歯並びの悪さにより異なりますが、部分的であれば、4−6ヶ月程度で、全体的な不正咬合の場合は、約1年〜3年ほど歯を動かす期間が平均的です。
その後は歯を固定する保定期間を歯を動かす期間と同じぐらいとる必要があります。また、顎変形症や重度の不正咬合の場合は、これよりも長い治療期間が必要になることが多いです。
◾️治療方法
歯を削って差し歯にする審美歯科と違い、矯正歯科はブラケットやワイヤー、マウスピースなどの矯正器具を使ってご自身の歯を動かしながら、歯並びを整えていきます。
歯を動かした後は、歯並びを固定する保定期間に入り、リテーナーと呼ばれる保定装置をつけて歯が後戻りしないように固定していきます。
参考:日本矯正歯科学会
◼️矯正歯科の種類
矯正治療にも様々な種類があり、患者様のご希望やお口の状態によって治療方法が決まります。以下は主な矯正方法です。
・ワイヤー矯正
・マウスピース矯正(インビザライン、クリアコレクトなど)
・裏側矯正(ワイヤー矯正)
・拡大床(小児矯正)
審美歯科と矯正歯科の大きな違い
◾️治療方法とメリット・デメリット
審美歯科では、ご自身の歯を削ってセラミックなどの材料で審美性の高い被せ物を入れたり、薬剤を使って歯の漂白を行なっていきます。
矯正治療に比べて歯を「加工」する範囲が大きいために、健康な天然歯でも削らなくてはいけないことがデメリットですが、短期間で美しい歯に変えられることが大きなメリットです。歯の神経を取らなければさほどデメリットはありません。
矯正治療では、患者様に合った矯正器具を歯に装着して、力をかけながら歯を動かしていきます。ご自身の歯を削ることはほとんどありません。
ただし、デメリットとして矯正治療を始めるにあたって抜歯が必要になることがある、矯正器具を長期間つけなくてはならない、治療期間が長いなどが挙げられます。
しかし、矯正治療ではご自身の歯を大きく削ったりすることがなく、健康なご自身の歯のまま綺麗な歯並びへと変えることが出来ます。
◾️治療期間
審美歯科は基本的に短期間の治療になります。歯をセラミックに変えるなどの治療では早くて1ヶ月ほどで治療が完了することもあります。
反対に矯正歯科では時間をかけてご自身の歯を動かしていく必要があるため、2年〜3年ほどの長い期間が必要になります。
ご自身の都合上どうしても早くに歯並びを整えたい、綺麗にしたいという場合は審美歯科を、時間がかかってもいいから自分の歯を削らずに綺麗にしたいという方は矯正歯科がおすすめです。
まとめ
今回は審美歯科と矯正歯科の違いについてお話ししました。どちらが自分に合っているのかは、ご本人の優先順位とそれにみあうお口の環境になっているかというところがポイントです。
どちらも美しい歯並びにする目的は同じですが、治療方法や治療期間が大きく異なります。どちらにも合う合わないというケースがありますので、事前に歯科医師とよく相談して、治療方法を決めていきましょう。
噛み合わせと予防重視で、歯並びを変えたい、きれいな口元を手に入れたいという場合には、銀歯を白い歯に変えたいなど審美的な面でのお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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