失ってしまった歯を補うためにインプラントが身近な存在になった現在、多くの方が治療を受けるようになってきました。
ただ、インプラントは手術を伴う治療のため腫れや痛みについて不安な方も多いと思います。今回はインプラント治療に伴う腫れや痛みについてお話ししていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
インプラント治療は腫れる?
インプラント治療は顎骨にインプラント(人工歯根)を埋め込むため、手術が必要な治療です。そのため、治療後に腫れや痛みを伴うことがあります。
また、治療後に内出血を起こすことで頬が紫色になることがありますが、次第に治ります。腫れの程度は個人差が大きく、治療部位によっても腫れの程度が変わってきます。
参考:日本口腔インプラント学会
◾️腫れる期間
池袋同仁歯科クリニックでおこなうほとんどのインプラント治療は腫れや痛みはすくないですが、大掛かりな治療などで腫れる方の場合、最も強く出るのが手術翌日から2日目あたりです。
それ以降は徐々に腫れもおさまってきます。全体的に外から見て腫れているのがわかる状態は1週間ほど続く場合もありますので、大事な予定を入れないようにスケジュール調整をしましょう。
また、骨移植や歯肉再生療法などを一緒に行う場合は、腫れる期間も長引く傾向にあります。
◾️腫れに伴う痛み
インプラントの治療中は局所麻酔を使用するため、痛みを感じることはありません。
しかし、治療後に麻酔が切れた後、痛みを感じることがあります。通常は痛み止めを服用すれば我慢できるような痛みで、2〜3日ほどで無くなります。
しかし、長期間痛みが治らない、強い痛みが続くという場合は早めに医師に相談しましょう。
インプラント治療後の腫れの種類
◾️治療後による腫れ
インプラント治療で最も起こりやすい腫れが、骨移植などによる治療です。
インプラントでは歯肉を切開し、顎の骨に穴をあけるために身体がダメージを負っている状態です。そのため、炎症や腫れを起こしながら患部を再生していきます。
通常は1週間ほどもすれば腫れが治ってきますが、長期間腫れが治らない、痛みが続いているという場合は細菌感染などの可能性がありますので早めに受診しましょう。
◾️細菌感染による腫れ
治療後、患部で細菌感染を起こすことで腫れることがあります。
細菌感染を起こす原因としては術後に患部を清潔に保てていないこと、処方された抗生物質を飲まなかったことなどが挙げられます。
細菌感染を起こした場合、放置してしまうとインプラントが骨と定着しないだけでなく、菌が身体にまわってしまうなど大きな問題を起こしてしまう可能性がありますので、早めに対処する必要があります。
強い腫れや痛みが続く場合はすぐに医師に相談しましょう。
※歯肉が腫れやすいなど免疫が通常より低い、弱いと思う場合は事前の抗生剤の服用をお勧めします。
◾️インプラント周囲炎による腫れ
インプラント治療が完了した後も「インプラント周囲炎」を起こすことで腫れることがあります。
インプラント周囲炎はインプラント部分で起こる歯周病のようなもので、インプラントと歯ぐきの間から歯周菌が侵入し、増殖することで炎症や腫れを起こします。
特にインプラントは天然歯のように歯根膜が存在しないため細菌が入り込みやすく、また一度感染してしまうと進行が早いです。そのため、腫れに気づいた時点で早めに医師に相談しましょう。
参考:日本臨床歯周病学会
インプラント治療の腫れがを抑えるために気をつけること
◾️手術後に体が温まるようなことをしない
手術後に身体が温まるようなことをすると血流が良くなり、腫れがひどくなることがあります。
術後2〜3日は運動や湯船に浸かる、飲酒を控えるようにしましょう。特に手術当日と翌日は安静にし、ゆっくりと休まれることをおすすめします。
◾️手術部位を清潔にする
手術部位が不衛生なままでいると細菌感染を起こしやすくなります。
そのため、できる限り患部を清潔に保ちましょう。患部には触らずに他の部位の歯磨きは丁寧に行い、お口の中に細菌が少ない状態を保ちましょう。マウスウォッシュの使用もおすすめです。
◾️患部を刺激しない
お口のケアは入念にする必要がありますが、手術部位は歯ブラシなどで刺激を与えないようにしましょう。また、食事の際も固いものや刺激物などは控え、柔らかくて食べやすいものにしてください。
◾️処方された薬を正しく飲む
インプラント手術後に痛み止めと抗生物質を処方されることがほとんどです。
痛み止めは痛みがある場合に服用し、抗生物質は処方されたものを全て用法用量を守って必ず服用するようにしましょう。特に抗生物質は感染を抑える効果がありますので、忘れずに飲むようにしてください。
インプラント治療後に腫れた場合の対処法
◾️患部を濡れたタオルで冷やす
インプラント治療後に腫れを感じた場合は、濡れたタオルや冷えピタで患部の頬を冷やすと腫れが落ち着くことがあります。
この時、アイスノンや氷などで冷やすと血流が悪くなってかえって治りが悪くなりますので濡れたタオル程度にしておきましょう。
◾️安静にする
手術後に動き回ったり、運動をしたりすると身体の血流が良くなり、腫れが悪化する可能性がありますので術後は安静にして、身体を休めるようにしましょう。
インプラントの手術の予約をする際には、治療後のスケジュールも事前に調整しておきましょう。
まとめ
今回はインプラント治療にあたっての腫れについてお話ししました。個人差はありますが、インプラント治療は手術を伴うためにある程度腫れを伴います。
そして、骨移植や歯肉再生療法などを併用すると腫れは強くなる傾向があることを覚えておきましょう。治療後は血流が良くなるような運動や入浴などを避け、安静にしておくことで最低限の腫れに抑えることができます。
また、腫れた場合は濡れタオルで患部を冷やすのがおすすめです。インプラント治療について不安なことなど、何でもご相談に乗りますのでお気軽にお伝えください。
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