マウスピース矯正が普及したことで、以前よりも幅広い世代の方が矯正治療を始めています。
マウスピース矯正にあたって治療内容や費用についてフォーカスされがちで、なかなか治療中のメンテナンス方法を知っている方が少ないのではないでしょうか?
今回はマウスピース矯正中のメンテナンスやマウスピースのお手入れ方法、治療後のケアについてお話ししていきます。
マウスピース矯正中のメンテナンスについて
ここでご説明するマウスピース矯正中の歯のメンテナンスとしては、ご自身がご自宅で行うセルフメンテナンス、そして歯科医院で行うプロのメンテナンスについてお話ししていきます。
患者さまが行うセルフメンテナンス
マウスピース矯正中、快適にトラブルなく治療を進めていくには患者さまご自身によるセルフメンテナンスが重要です。
特に毎日使用するマウスピースのメンテナンス、そして口腔内のケアに力を入れる必要があります。
マウスピース矯正では、透明な薄いプラスチックでできたマウスピースを毎日22時間以上装着します。
お口の中にずっと入っているため、噛んでできた傷など細かな傷がマウスピースについてしまうのは避けられません。傷のついたマウスピースを不衛生なまま保管してしまうと、傷の中で雑菌が繁殖し菌だらけのマウスピースを使うことになってしまいます。そのため、マウスピースは適切な方法で洗浄し、保管する必要があります。
マウスピースのお手入れ方法については後ほどご説明します。そして、患者さまによる口腔ケアでは歯ブラシの他にフロスや歯間ブラシ、タフトブラシなどを併用しながら細かいところまで丁寧に磨くようにしましょう。
マウスピース矯正では、抜歯や歯が動いたことで隙間ができやすくなります。
特に歯と歯の間の隙間には汚れが溜まりやすくなり、通常の歯ブラシでは除去しにくいためフロスやタフトブラシなどの清掃補助具を使って綺麗にしましょう。
タフトブラシはあまりなじみがないかもしれませんが、毛束が一つの小さな歯ブラシで、通常の歯ブラシでは磨き残しをしやすい歯と歯の間や奥歯の裏側、歯と歯ぐきの境目などを効果的に磨くことができます。
参考:ライオン歯科衛生研究所
マウスピース矯正中の歯磨き方法は、歯科医院でもアドバイスしてもらえます。普段使用している歯ブラシを持参して歯磨き指導を受けてみるのもおすすめです。
歯科医院で行うプロのメンテナンス
マウスピース矯正では最短でも半年〜と長い期間がかかります。そのため、治療中は定期的に歯科医院でのプロによるメンテナンスを受けるようにしましょう。
メンテナンスの内容としては、虫歯や歯周病のチェック、専用の器具でのクリーニング、PMTC、フッ素塗布などです。
マウスピース矯正中は、常にマウスピースを装着していることにより唾液の自浄作用が歯に行き渡らず虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
また、歯が動くことで隙間ができやすくなり、普段通りに歯磨きをしていても磨き残しが出やすくなります。
定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けることで、早期に問題を発見することができ、クリーニングによってご自身では除去できない汚れをキレイにすることができます。
また歯科医院では歯磨き指導を行っていますので、治療中で変わっていく歯並びに対してその都度適切な歯磨き方法を教えてもらうことができます。
また、定期的にフッ素を塗布してもらうことで虫歯になりにくい歯を作ることができます。
初期虫歯の状態である歯の表面の脱灰に対して、フッ化物イオンが再石灰化を促進する効果が認められています。矯正中は口が乾燥しやすいことから初期虫歯ができやすくなりますが、フッ素を塗ることで虫歯の進行を防ぐことができます。
マウスピースのお手入れ方法
ここでは実際にマウスピースのお手入れ方法についてご説明してきます。マウスピースは薄いプラスチックでできているため、「熱いお湯」と「強い力」は厳禁です。
また、マウスピースを綺麗にしようと歯ブラシと歯磨き粉を使ってゴシゴシとこすって洗おうとされる方もいらっしゃいますが、こちらもマウスピースの表面に細かな傷がつく原因になりますので避けましょう。
マウスピースの基本的な洗浄方法は以下の通りです。
①外したマウスピースを水かぬるま湯で流す
②汚れが気になる場合は食器用洗剤などを使用し手で軽くこすって洗う
③乾燥して保管(最低20時間以上は口腔内に入れてください。)
汚れがさらに気になる場合は、柔らかめの歯ブラシを使用して軽くこすり洗いしても構いません。研磨剤が入っている歯磨き粉ではなく、食器用洗剤や石鹸などを使用するようにしましょう。
マウスピース洗浄用の柔らかい歯ブラシを用意しておくのもおすすめです。
もっと簡単な方法としては、マウスピース専用の洗浄剤を使用することで除菌や洗浄を一緒に行えます。
使い方はコップに水をいれそこにマウスピースと洗浄剤を入れるだけです。5分もすれば綺麗になるので、洗い流して終了です。
洗浄剤はマウスピースの細かな傷に繁殖する菌も除菌してくれるので、臭い対策になりとてもおすすめです。
マウスピースを保管する場合は、軽く拭き取り乾燥した場所に保管しましょう。よく、ティッシュにくるんで置いておいたらゴミと間違えて捨ててしまった!という方も多いので、保管場所を決めるようにしましょう。
ただし、実際のところマウスピースをしながら食事などはしないため、そんなに汚れることはありません。もしマウスピースが汚れてしまうというような場合、食事後のお口のお手入れや、マウスピースをしながらついつい飲食していないかを確認してください。清潔な口で装着すればそうそう汚れるものではありませんから。
まとめ
今回はマウスピース矯正中のメンテナンスについてお話ししました。治療中は、ご自身によるセルフメンテナンスと歯科医院で行うプロによるメンテナンスの併用をおすすめしています。
特にマウスピースの管理は患者さまが主体になりますので、適切なメンテナンス方法で快適に治療をすすめていきましょう。歯科医院では定期的なクリーニングや検診などのメンテナンスを行うことで、虫歯や歯周病のトラブルなく歯を綺麗に並べていくことができます。
綺麗なだけでなく、健康な歯並びのためにもしっかりとメンテナンスに力を入れていきましょうね!
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