監修 歯科医師 河合良治歯を失ってしまう原因のトップである「歯周病」ですが、世界で最も罹患している数が多く30代の80%の方が歯周病にかかっていると報告されているほどです。
歯周病にはいくつかの段階があり、軽度なものから重度のもの、さらには手遅れの状態のものもあります。
今回は歯周病が進んでしまった手遅れの症状についてお話ししていきますので、ぜひ参考にしてください。
歯周病の段階について
歯周病の有無やどれぐらい進行しているか判断するために行われる検査として、歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットの深さを測る検査があります。
健康的な歯ぐきは1〜3mmほどですが、4mmを超えてくると歯周病が進行しているということになります。
日本歯周病学会では、歯周病の進行度を4つのステージに分類しており、ステージ1が最も軽症、ステージ4が最も重症になります。
<ステージ1>
・歯周ポケットの4mm以内
・水平的な骨吸収
<ステージ2>
・歯周ポケットの深さ5mm以内
・水平的な骨吸収
<ステージ3>
・歯周病により4本以内の喪失あり
・歯周ポケットの深さ6mm以上
・3mm以上の垂直性骨吸収
・根分岐病変2-3度など
<ステージ4>
・歯周炎により5本以上の喪失
・歯周ポケットの深さ6mm以上
・ステージ3に加えて複雑な口腔機能回復治療を要する以下の状態
・咀嚼機能障害など
専門用語も入っているのでわかりにくいかもしれませんが、ステージ1〜2は軽度から中度の歯周病、ステージ3〜4は重度の歯周病で歯を失ってしまっている状態です。
ステージ2までは、ご自身でのホームケアに加えて歯科医院での歯周病治療を受けることで歯を失わずにすみますが、ステージ3〜4まで進行してしまうと歯を失ってしまう、いわゆる「手遅れ」の状態になってしまいます。
手遅れの歯周病の症状とは?
歯周病になると一番怖いことが歯が残せない状態になってしまうことです。
歯周病は歯周病菌の感染による炎症性の病気で、歯ぐきなど歯の周りの歯周組織に炎症が広がると身体の免疫反応(白血球)が感染した部分を攻撃するようになり、その結果骨が溶けていきます。
歯を支える骨が溶けることによって歯がグラグラと動き始め(動揺)、さらに感染による膿や強い口臭が出始めます。
歯周病が手遅れの状態かを判断する大きなポイントは「歯が大きくグラグラしているか」です。
現時点で歯が大きくグラグラしていて、今にも抜けてしまいそうな場合は歯が残せないケースが多いということを理解しておきましょう。
しかし、少しの歯のグラつきであれば適切な歯周治療を受けることにより、歯周病の進行を抑えて歯が残せるケースもあります。
参考:日本臨床歯周病学会
歯周病が手遅れになる前に
歯周病は手遅れになってからでは歯を抜くことしかできず、入れ歯やブリッジなど更なる治療が必要になってしまいます。
また、歯を失ってしまった場合に歯周病があるとインプラント治療もできなくなってしまうことがありますので、早期発見早期治療が重要になります。
まだ軽度だからと軽く見ているとあっという間に進行してしまうこともありますので、症状が出ていなくても歯科医院で検診を受けるようにしましょう。
またご自身での正しい歯磨きも歯周病を予防する大切なポイントになります。ぜひ一度プロによる歯磨き指導を受けてみましょう。
まとめ
今回は歯周病の手遅れ症状についてお話ししました。
歯周病には段階があり、軽度なものから重度のものまであります。歯周病が進行していくと、歯を支える骨が溶け、歯がグラグラと動いてくるようになります。
歯が大きく動いて今にも抜けそうな場合は、歯を保存することが難しく手遅れの状態と言えるでしょう。そうならないためにも、定期的に歯科医院へ検診にいきプロによる歯周病の検査や歯磨き指導、クリーニングを受けましょう。
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