監修 歯科医師 河合
多くの人が悩む口臭。その原因はお口の中の要因が9割といわれています。口臭には自分が感じるものと他人が感じるものがありますが、その中で磨き残しなどの細菌が多く原因となります。 なかにはしっかりと磨いても臭いがとれないようなケースでは、歯周病が大きく口臭と関連しているということを、ご存知でしょうか?
口臭はお口の中の疾患と結びつけて考えている方は、少ないですが、 歯周病による口臭は特徴的で、日常生活に大きな影響を与えることがあります。ご自身の毎日の生活において、対人関係を知らない間に阻害してしまっていたり、自信を損なうこともあります。このブログでは、歯周病が口臭を引き起こすメカニズムと、それが日々の生活にどのような影響を与えるかについて分かりやすく解説いたします。
歯周病はどんな病気?
歯周病は、歯や歯を支える顎の骨の組織などの健康を脅かす深刻な病気です。
適切な対策が取られない場合、最終的には歯の喪失を引き起こす可能性があります。
この歯周病は、歯肉の炎症が始まりとなり、徐々に深刻な状態へと進行します。
歯周病の初期段階では歯肉の腫れや赤み、そして歯磨き時の出血といった症状が現れることが多いです。これらは歯周病の最も一般的な初期症状であり、見過ごしやすいサインです。
歯周病が進行すると、歯肉の炎症は歯周ポケットが深くなるとともに悪化し、歯と歯肉の間に歯周病の細菌が蓄積します。これにより、臭いが発生することがあります。
歯周病は感染がさらに広がり、歯を支える顎の骨が徐々に壊されていきます。中等度から重症度にかけての歯周病では、歯肉の退縮、歯の揺れや移動、そして噛み合わせの問題が顕著になり、放置すると歯が抜ける原因となります。
この時の歯周病菌は、歯周ポケットの奥に入っているため、磨こうとしても磨ききれずに残ってしまっているのです。この細菌から臭いが発生します。
歯周病の進行は静かに進むため、日々の生活の中でその進行に気づかないことがあります。しかし、定期的な歯科検診と適切なお口のケアによって、歯周病は予防または治療が可能です。歯科での専門的なクリーニングを行うことで歯周ポケット内の細菌を取り除き、進行を抑制する手助けをします。毎日の歯みがきとフロスで丁寧にプラックコントロールを行うことが、歯周病の予防と管理には必要です。このように、正しい知識と適切なケアによって、歯周病のリスクを大幅に低減することができます。
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口臭の原因は?
口臭は多くの要因によって引き起こされる問題でもありますが、多くの場合は、虫歯や歯周病による細菌から発生するガスが影響しています。つまり、歯周病は口臭の主な原因の一つです。
歯周病が引き起こす口臭は、歯周ポケットに蓄積された細菌が分解する過程で硫黄化合物を生成するために発生します。これらの硫黄化合物は非常に特有の悪臭を放ち、その結果として強い口臭が生じます。特に、歯肉の炎症が進行し、細菌が増殖することでこれらの臭いの原因物質が多く生成されるため、口臭はより顕著になります。
口臭の原因は歯周病だけではありませんが、特徴的な悪臭なので気をつけたいことです。
他の要因としては、大きな虫歯などの穴に潜んだ細菌、お口の乾燥、特定の薬剤の副作用、糖尿病、消化器系や呼吸器系の問題などがあります。これらの状態もまた、口内環境の変化や体内からの化学物質の放出によって、口臭を引き起こすことがあります。生活習慣の中では、喫煙やアルコールの飲酒、荒れた食生活、そしてお口のケアが不十分な状態が口臭の原因となります。
これらの習慣はお口のpHバランスを変え、有害な細菌の増殖に加担することで悪臭の原因となります。
口臭を正確に診断し、その原因を突き止めることは、効果的な治療方法を選択する上で非常に重要です。池袋同仁歯科クリニックで行っている歯科ドックでは、患者様のお口の中を詳しく検査し、必要に応じて適切な治療計画を立てることができます。定期的な歯科検診と適切なお口のケアが、口臭の管理と予防に欠かせませんので、健康に興味をお持ちの方はぜひご利用なさってください。
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口臭をなくす方法は?
口臭を軽減または解消するためには、日常的なお口のケアや清潔な状態の維持が非常に重要です。まず基本的な対策として、毎日の歯磨き(プラックコントロール)を丁寧に行い、歯ブラシだけでは届かない歯間部分の清掃のためにデンタルフロスや歯間ブラシを使用することがお勧めです。
これにより、歯周病の原因となるプラークや食べかすを効果的に除去し、口臭の原因となる細菌の蓄積を防ぎます。
さらに、舌の表面も清潔に保つことが重要です。舌は細菌が付着しやすい表面であり、これらの細菌は口臭の原因となる物質を生成します。
毎日の舌磨きを行うことで、これらの細菌を効果的に取り除き、口臭を減少させることができます。
また、こまめな水分摂取も口臭予防に効果的です。
十分な水分を摂取することでお口が乾燥するのを防ぎ、唾液の分泌を促進します。
唾液には抗菌作用があり、お口の細菌の成長を抑制して口臭を抑えることが可能です。
食生活の見直しも口臭の軽減に大きく関係します。特に、砂糖を多く含む食品や臭いが強い食品は口臭の原因となり得るため、これらの摂取を控えめにすると良いでしょう。
またキシリトールガムを噛むことは、食後の歯のクリーニングと唾液の分泌を促進し、口臭予防に効果的です。
参考情報: 日本臨床歯周病学会HPより口臭についてのリンクはこちら
まとめ
口臭の主な原因の一つである歯周病を予防し管理するためには、適切な口腔衛生が不可欠です。日々のブラッシング、フロッシング、舌磨き、適切な水分摂取、食生活の調整を行うことが重要です。また、定期的な歯科検診も口臭予防に効果的であり、健康な口内環境の維持に寄与します。ただし進行してしまった歯周病ではご自身で歯周ポケットの中を清掃することは困難ですので、歯科医院で専門的なクリーニングを受けてください。ただ歯石取りをしただけではなかなか改善するのは難しいので、あくまで深いし歯周ポケットがある場合には専門のクリーニングを受けてください。