執筆：歯科医師 河合良治
セラミックのブリッジにはどんな種類と特徴があるのでしょうか？
ブリッジとは、失った歯を補うために両隣の歯を土台にして、被せ物を連結させたものを被せる方法です。その材質を、セラミックという白い陶材を使用して製作するのが、セラミックブリッジです。
セラミックは審美性の高い治療に適しており、表面がとても硬くツルツルなので、変色しにくく汚れも付着しにくいという特徴があります。
ブリッジの治療をする時にいくつかの選択肢があることを知ることで、ご自身のお口の中の状況に合わせて、納得がいく治療ができる近道となります。
セラミックのブリッジの種類と特徴、メリットとデメリットも含めて解説していきます。
オールセラミックブリッジ(ジルコニアブリッジ)
オールセラミックブリッジ(ジルコニアブリッジ)は、被せ物の内面から表面まで、全てが1つのセラミックで作られているものです。
材料は、「ジルコニア」という白い鉱物のブロックから、1つの塊として削り出します。
そのジルコニアに色をつけて、高温で焼き上げて、艶を出します。
セラミックのブリッジの中では一番硬くて、強度に優れているものです。
メリット：セラミックブリッジの中で一番硬く、強度がある
金属アレルギーが出ない
本数が多く、長いブリッジに向いている
デメリット：強度があり、硬すぎるので、噛み合う歯を痛める恐れがある
白くてキレイだが、透明感は出にくいので審美性にこだわる場合は要注意
ブリッジの強度を取るため、歯を削る量が多い
ということであまり前歯には利用しません。
オールセラミックブリッジ(ジルコニアボンド)
オールセラミックブリッジ(ジルコニアボンド)とは、ブリッジの内面になる裏打ちがジルコニアという硬い素材で出来ており、その表面にセラミック(陶材)を盛り足しているものです。
2層に分かれているので、透明度や歯の色を再現するにはジルコニアボンドに勝るものはないほど、審美性に優れています。
メリット：審美性にとても優れている
金属アレルギーが出ない
噛み合わせる歯に優しい
デメリット：表面のセラミックが、欠けてくる事がある
費用が高価
メタルセラミックブリッジ(メタルボンドブリッジ)
メタルセラミックブリッジ(メタルボンドブリッジ)とは、ブリッジの内面になる裏打ちが金属で出来ており、その表面にセラミックを盛り足しているもののことです。
60年以上前から行われている治療方法で歴史は長く、セラミックブリッジが登場し実用化されるまでは長きにわたって、セラミックといえばメタルセラミックでした。
金属の裏打ちを使用することでデザインに細かい表情をつけることが可能です。白くセラミックにする範囲を変更することができるので、全体をセラミックで覆うだけではなく、噛み合わせの面など強く当たる部分や、歯の裏側を金属にして歯の表面をセラミックにするということも可能です。
メリット：金属のフレームに強度と、しなりがある
：セラミックに比べて歯を削る厚みを取らなくて良い
デメリット：金属アレルギーの方には不向き
経年劣化で、歯肉との境目が黒っぽく見える
金属の種類によっては、歯肉に金属色が浸透し、黒くなる(メタルタトゥー)が起こる場合がある
出典：日本歯科医師会 さし歯・冠・ブリッジ歯とお口のことなら何でもわかるテーマパーク
まとめ
いかがでしたか？
セラミックのブリッジには3つの種類があることがわかっていただけたと思います。
それぞれに、とても強度を持ってるもの、審美性を重視したいもの、金属を使用しているもの、という特徴があることがわかっていただけたと思います。
噛み合わせの力がとても強い方には、強度を重視したセラミックブリッジをオススメしますし、前歯にかかるブリッジであれば、審美性の高いものをオススメします。金属を使用する場合にも、ブリッジの本数やご本人のお好みに合わせてオススメをさせていただきます。
当院では、患者様お一人おひとりにカウンセリングを行い、納得の行く治療を受けていただくよう心がけております。治療の方向性や、選択をする際にも、セラミックブリッジの種類を知っていただくことで、ご自身のお口の中に適したブリッジの選択をする際の、一助にしていただければと思います。