執筆:歯科医師 河合良治
歯を失ってしまった場合、入れ歯やブリッジに次ぐ第3の選択肢としてインプラント治療がメジャーになってきています。
しかし、インプラント治療は入れ歯やブリッジと違い治療期間がかかってしまうことが挙げられますが、実際にはどれぐらいの期間が必要なのでしょうか?
インプラント手術から実際に歯が入って物が噛めるようになるまでの一般的な期間をご説明していきます。
インプラント治療にかかる期間
インプラント治療で物が噛めるようになるまでの期間ですが、最近では条件が良ければ六週間で行けるものもありますが、一般的には下顎で2,5~6ヶ月ほど、上顎で3~8ヶ月ほどかかると言われています。
顎の骨の状況により、この差が生じます。足りない人は、骨を増やす処置を行う必要がありますので長い治療期間がかかると考えておきましょう。ではどうしてインプラント治療ではこのように長い期間がかかるのでしょうか?それは生体の治癒力に依存するからです。
インプラント治療はいくつかの段階に治療が分けられています。以下でインプラント治療の一般的な方法である2回法の治療の流れと期間についてお話ししていきます。
インプラント2回法
一次手術(オペ):インプラント体の骨結合まで(3ヶ月〜5ヶ月)
歯ぐきを切開し、顎の骨に穴を開けインプラントの土台となるインプラント体を埋め込んでいきます。
手術自体は1日のうちの数時間で終了しますが、インプラント体と顎の骨が結合するまで上顎では3カ月前後、下顎では2カ月前後待たないといけません。
二次手術(オペ)(1週間〜6週間)
インプラント体が顎の骨に結合したあとは、2回目のオペになります。オペと言っても1回目ほど大掛かりな物ではなく、麻酔をしてインプラント体の入っている部分の歯ぐきを少し切開し、「ヒーリングアバットメント」というものを装着します。
アバットメントは被せ物とインプラント体をつなぐ重要な役割を果たします。ヒーリングアバットメントは歯茎を治癒させる一時的なもので、歯ぐきの状態が落ち着いたら本物のアバットメントに置き換えていきます。
二次オペの後は、アバットメントが歯ぐきからでた状態になります。この状態で1週間から6週間ほど時間をおいて、被せ物の型取りを行っていきます。
上部構造の制作からセット(1週間〜2週間)
上部構造と呼ばれる、被せ物(歯)の部分を制作していきます。専用の材料と器具を使って印象採得(型取り)を行い、技工所に依頼して患者さんにぴったりの歯を作ってもらいます。
参考:日本口腔インプラント学会
インプラント治療に長い期間がかかる人
インプラント治療で長い期間がかかってしまう人としては、以下のものが挙げられます。
・顎の骨が足りない人
・喫煙をしている人(アメリカでは拒否されることも多い)
・上顎のインプラント治療を行う人
特に顎の骨の量が足りない人は、そのままインプラントを入れることができないため、新たに骨を増やす処置をする必要があります。
骨を増やす処置自体にも数ヶ月から半年と長い期間がかかりますのでインプラント治療が長引いてしまう原因にもなります。
ご自身のインプラント治療がどの位の期間かかるのかは歯科医師の判断になりますので、しっかりと事前にご相談しましょう。
インプラントは一生メンテナンスが必要
インプラント治療で歯が入ったからといって全てが終了というわけではありません。インプラントは他の歯と同様にメンテナンスが必要になってきます。
メンテナンスが必要な理由として、通常の歯より、歯周病に気づきにくかったり進行しやすいからです。歯の神経はないため虫歯にはなりませんが、インプラントと骨の間に細菌が入ることで「インプラント歯周炎」を引き起こし、最悪の場合はせっかく入れたインプラントが抜け落ちてしまうこともあるからです。
ご自身のホームケアは必須ですが、定期的に歯科医院でインプラントのメンテナンス、プロケアを受けるようにしましょう。
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まとめ
今回はインプラントが入るまでの期間についてお話ししました。インプラント治療では最低でも3〜半年ほどはかかる治療です。本数が多かったり人によっては1年以上と長い期間がかかることを理解しておきましょう。
インプラント治療で不安がある方、お悩みの方はぜひ当院で一度ご相談ください。
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