執筆:歯科医師 河合良治
先日噛み合わせの相談が二日間で7件ありました。そして驚くことにこの7名のうちの5名が既にマウスピース矯正を始めていたり、終わった人たちの相談でした。つまり、マウスピース矯正でうまくいっていない人、良くないひとがこんなにもいるとういことです。内訳はキレイライン、インビザライン の2つのマウスピース矯正でした。
この人たちから、お話をよくお聞きした、うまくいかないパターンがありましたので、紹介します。
マウスピース矯正を始める前に
マウスピース矯正は歯に装置を着けないから、目立たなくていい、簡単そうでいいというイメージで始める方が多いのですが、簡単なケースは移動量が少ない場合のみです。ここを間違ってしまうと思ったことと違うということ、良くない結果が出てきてしまいます。
そして、キレイラインというものは、前歯を得意としていて、奥歯はあまり動かさない方法なのです。インビザラインは奥歯も移動させます。つまりキレイラインでお口全体の矯正をするのは良くない、適さないということになります。
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関連情報:池袋同仁歯科クリニック「マウスピース矯正とワイヤー矯正の比較、メリットデメリット」
ゴールがどこなのかをはっきりさせること。
マウスピース矯正は安いからとか、簡単そうだからということで始める方が多いわけですが、そうやってはじめると、なんとなくなので今よりはいいだろうという曖昧な感じで始める方が多いです。
しかしその仕上がりが自分のイメージと違うということが起こるわけです。お話をお聞きすると、ここはもう少しこうしたいというのがみなさんあるのです。
キレイラインという装置は、歯のちょっとした移動には適応ですが、大きく移動するのは不向きです。(当医院では取り扱いっておりません。)そこを理解されずに、始めると適応外、良くない結果になります。ちょっとむり目なことをするのでこういう結果のずれが生じます。
歯を移動させるには、当たり前ですが、物理的にスペースが必要です。そのスペースを作るには歯を削るとか抜歯するとか、外に広げるしかないわけです。
このうち歯を削ることも抜歯もしないなら、外に広げるしか歯のいくところがないのです。そうなると、横の歯との凸凹はなくなっても、出っ歯になってしまったり、上下で噛まなくなるのです。
噛み合わせをたいせつにすること
元々の噛み合わせがあっていても、矯正中に噛み合わせが合わなくなる人が出てきます。当医院の場合は中心位と言って顎関節を基準に、噛み合わせを整えているのでそういうことはありません。むしろここが当医院の得意なところなので、矯正後に噛み合わせが悪いというクレームはありません。
なぜ噛み合わせが狂ってしまうかというと、噛み合わせがおかしいというのは2つありました。
マウスピース矯正で隙間ができる
マウスピース矯正は当然ですが、マウスピースをずっと噛んでいるので治療期間が長くなると、その噛んでいる分が奥歯の噛み合わせの隙間が空いてくることがあります。前歯の噛み合わせの隙間の場合は歯のスペースがないことによります。抜歯をしないで前に出す場合に多いケースです。
インビザライン でできた奥歯の噛み合わせの隙間は比較的容易に回復可能です。抜歯をしないで出っ歯になってしまった場合は抜歯をしてスペースを作り、奥に引く、入れるということで回復可能です。
顎の調子が悪くなる。
噛み合わせは下の顎が関節を中心とした動きで作られます。当然ですが、歯を中心とした動きではありません。
顎の調子が悪くなった時に考えられるのは、歯並びが悪かったので元々顎に負担がかかっていた、そしてそれがはっきりとした場合、もう一つは矯正により顎に負担がかかる噛み合わせになってしまっということです。
これらの解決方法は、シンプルですが顎の関節に負担のかからない噛み合わせにするということです。その方法は歯の噛む面の形態を修正する方法と、再度矯正をすることです。これらは噛み合わせのズレにより最適な治療が異なります。
まとめ、キレイラインで合う人は?
当医院では対応していないのですが、ご相談者と会社のホームページから推測すると前歯の数ミリのガタガタを治す場合のみに有効な方法であると思います。
前歯を引っ込めたい方→ →わずかならいいが、イメージを変えるくらいは難しいでしょう。
犬歯も整えたい→ →わずかならいいが、イメージを変えるくらいは難しいでしょう。