監修 噛み合わせ認定医 河合良治
従来のワイヤー矯正とは全く異なった方法で歯を綺麗に並べていく「マウスピース矯正」は、透明なマウスピースを使用し、取り外しが可能であることから多くの方に選ばれるようになりました。
マウスピース矯正と聞くと、メリットばかりが挙げられてとても魅力的に感じます。では実際はどうなのでしょうか?実際に治療をされた方の声も参考にマウスピース矯正の実際についてお話ししていきます。
マウスピース矯正中の痛みはどうなの?
よくワイヤー矯正に比べてマウスピース矯正は痛みが少ないと言われますが実際にはどうなのでしょうか?
結論から言いますと「ワイヤー矯正よりは痛みを感じる要素が少ないが、痛みは感じることがある」です。
ワイヤー矯正では、月に一回と矯正器具を調整しながら歯を動かしていきます。調整日にはワイヤーを交換することで歯に強い力がかかるため、歯が動くことで痛みを感じやすくなるとされています。
しかし、マウスピース矯正では7日〜10日に1回ほどの細いスパンで、マウスピースを交換しながら歯を少しずつ動かしていきます。
持続的にゆるやかな力をかけ、短期間で次のステージのマウスピースに交換するので痛みが少ないことが特徴の一つです。
参考:インビザライン公式
ただ、歯の凸凹が強く歯を大きく動かす必要がある方や、マウスピース矯正を始めたばかりの頃は慣れていないため、新しいマウスピースに交換したばかりなどには強い痛みを感じたという方もいるそうです。
歯並びが整っていくにつれ、痛みも感じにくくなってきますが、どんな矯正治療でも多少の痛みを伴うのは仕方がないようです。
痛みが強い場合は、硬いものを噛まない、安静にする、口周りを軽く冷やす、痛み止めを飲むなどの対処法もありますので、試してみてください。
マウスピース矯正中のストレスってどうなの?
マウスピース矯正では矯正器具であるマウスピースを取り外せることから、食事や歯磨きを普段通りに行うことができるなど、矯正中のストレスが少ないと言われています。
他にも、結婚式やスポーツ大会など大事なイベントの際にもマウスピースを取り外せるために矯正していることがバレずにストレスなく過ごせるのも大きなポイントではないでしょうか?
このマウスピースが自由に取り外せるといった点では、ワイヤー矯正に比べるとストレスが少ないようです。
ただし、マウスピースが取り外せるからこその問題もあるようで、
取り外したまま装着するのを長時間忘れてしまい歯が後戻りしてしまった、
マウスピースを紛失してしまったなどという声もよく聞こえます。
そして、マウスピース中にストレスに感じたという点で挙げられたのが、食事や間食の度にマウスピースを外す必要があるため面倒くさかったというものです。
食事だけではなく、ジュースやコーヒーなどの飲み物もマウスピースをしたままでは飲めないため、ちょっとコーヒーブレイクといった時にもマウスピースを外して、飲み終わったら歯磨きをしてまたマウスピースを装着という流れが面倒に感じてしまいます。
しかし、慣れてくると1日の中で間食の時間を決めるようになって生活習慣が整うようになった、無駄な間食をしなくなったといった方も多くマウスピースとうまく付き合っていけるようなる方がほとんどです。
マウスピース矯正の治療期間ってどうなの?
マウスピース矯正は他の矯正に比べて早く終わるの?といった疑問を持たれる方もいるかもしれません。
こちらに関しては、ワイヤー矯正もマウスピース矯正も大きな差はありません。
ただし、マウスピース矯正は患者さまがご自身でマウスピースを交換しながら歯を動かしていくために、患者さま主体の治療になります。
そのため、マウスピースの交換を忘れたり、装着時間を守らないと歯が計画通りに動かなくなってしまい、結果として治療期間が伸びることがあります。
そうならないためにも、装着時間や治療計画を守りながら進めていきましょう。
マウスピース矯正ができない人もいる?
実際には、ほとんどの方がマウスピース矯正で治療が可能ですが、歯を回転させたり、垂直に動かすといった動きが必要な場合はワイヤー矯正の適応になることがあります。
なかには歯が違う向きで生えてきたり、歯を引っ張り出す必要がある方がいます。この場合はマウスピース矯正ではできない動きのため、ワイヤー矯正でしか歯を動かすことができないからです。
とはいえマウスピース矯正も進歩しているので、現在ではほとんどの方が治療できるようになっています。
マウスピース矯正だけでは難しい方は、マウスピース矯正とワイヤー矯正を併用したハイブリッド矯正などがありますので、ご自身の希望にあった方法を歯科医師と相談してください。
最近流行りの安価なマウスピース矯正ってどうなの?
近年、インターネット上から歯科医師が介在しない状態で申し込みができる安価なマウスピース矯正が流行っています。
値段も安いことから始める方が多くなってきていますが、日本矯正歯科学会では矯正治療は正確な診断と精密な治療計画のもとに行われる医療行為であり、安易なマウスピース型の製品を使用することは予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性があり非常に危険であるとしています。
歯並びが崩れるだけでなく、噛み合わせがおかしくなったり、顎関節症などの症状がでたりとトラブルの原因になりますので、矯正治療は歯科医院で行うようにしましょう。また噛み合わせが心配なら最後の当医院へお越しください。セカンドオピニオンいたします。
引用:日本矯正歯科学会
まとめ
今回はマウスピース矯正の実際どうなの?といった疑問についてお答えしてきました。マウスピース矯正はメリットばかりがフォーカスされがちですが、治療中はワイヤー矯正にはないデメリットがあることも事実です。
こうした声を事前にしっかりと理解することでマウスピース矯正中のストレスを軽減することができるのではないでしょうか。
他にもマウスピース矯正について不安な点や疑問点があればなんでもご相談ください。当院では患者さま一人ひとりにあった矯正方法をご提案させていただきます。
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